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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第三章 水の惑星Ⅰ

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88 二連敗かぁ

気を取り直したシラネは話を再開する。

 「だが、実際のところ、あたしも直に従事したのは、『ビル・エル・ハルマート』の二回目だけだ。『アクア3(スリー)』と『学術研究惑星』の件はわからないことも多い。そこで、みんなにも『偵察局』に来て貰いたい」


 「あたしたちも出席するってことですか?」

 ラティーファの質問に、シラネは(かぶり)を振る。


 「いや、別室で待機して貰いたい。何かあったら、あたしが別室に聞きに行く。場合によっては、直に説明して貰うこともあるかもしれないが……」


 「あの……」

 アナベルがおずおずと手を上げる。


 「私も出席します」


 「そうか。アナベルちゃんは『星間警察職員』だもんね。『星間警察(そっち)』は何か動きはあった?」


 シラネの質問に、アナベルは頭を少し前に下げ、右手を額に当てながら、答える。

 「『学術研究惑星』の施設にいた従業員を逮捕して訊問しています。幹部の三人以外は本当に何も知らないみたいです。幹部の三人は黙秘を続けていましたが、ここへ来て軟化の動きも出てきているようです」


 「そうか。何かいい情報を得られるといいね」



 ◇◇◇



 会合は散会になった。


 結局、エウフロシネは、手のひらの傷の治療を受けることになり、「偵察局」本部のある「副都心惑星」に一緒に行くことになった。


 初めての宇宙(そら)の旅。しかも、坊っちゃんと一緒。


 手のひらの傷の治療の他に、ヴァーチャルリアリティマシンにかけられたことによるメンタルの再検査も受けることにもなっているが、既に一度診察を受けており、大丈夫とのお墨付きも貰っている。


 エウフロシネは舞い上がらんばかりの調子で歩を進めた。



 ◇◇◇



 ラティーファは右手で旦那(だん)さんの左手をがっちり(つか)む。


 左手は旦那(だん)さんがいつ余計なことを言いだしても、口を塞げるよう臨戦態勢だ。


 「ふぅ~っ」

 その姿を見て、シナンは深い溜息をついた。


 「入る余地無しかな。シラネさんに続き、二連敗かぁ」


 

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