84 おおっ いいねぇ~
「おらぁっ~」
旦那さんの三撃目を今度は、敵の指揮官は、がっちりと受け止める。
「おおっ、いいねぇ~」
旦那さんの叫びと共に、レーザーセイバーは光を増す。
(化け物がぁ~)
敵の指揮官は焦燥する。
(こっちが強ければ、向こうも強くなる? 何なんだ? 旦那さんはよっ)
敵の指揮官は苛立ちをぶつけるかのように、レーザーセイバーを強く振る。
旦那さんは、それをしっかりと受け止める。
その時に、敵の指揮官は見てしまう。
旦那さんの口角が上がっているのを。
(この状況を楽しんでいやがるのかっ? こいつはっ?)
◇◇◇
(くっそーっ)
敵の指揮官は間合いを長くとり、助走に時間をかけ、突進する。
より勢いをつけたはずなのに、今度も旦那さんは確実に受け止める。
「うっ!」
敵の指揮官は衝撃を受ける。
恐る恐る旦那さんの顔を窺うと、先程より口角が上がっているようだ。
(何だってんだっ! こうなれば相討ちになっても、旦那さんだけは倒す)
敵の指揮官はレーザーセイバーの先端を敵の指揮官は旦那さんに向け「突き」を狙う。
旦那さんに上段から斬られることは覚悟の上の捨て身の戦法だ。
「ぬおぉぉぉーっ!」
雄たけびを上げて突撃をかける敵の指揮官だが、ありありと失望の色を浮かべる旦那さんを垣間見てしまった。
◇◇◇
旦那さんは静かにレーザーセイバーを縦に振り下ろす。
その光は鈍いものに変わってしまっていた。
それでも、白い光に敵の指揮官は溶けて行く。
旦那さんは淡々と呟いた。
「どうして、最後まで、己の『レーザーセイバー』を信じないんだ?」
敵の指揮官の最後の一人は「チャージオン」されることもなく倒れて行った。




