78 えっ いいよぉ 恥ずかしい
「ふっ、ああああぁぁ~」
坊っちゃんはおおあくびをした。
「ラティーファ、ごめん。僕、眠くなってきちゃって」
「ふふふ。いいんだよ。レーザーブラスターの一撃で精神力使っちゃったんだよね。お姉ちゃんがおんぶしてあげるよ」
「えーっ、いいよぉ。恥ずかしい」
「遠慮しないの。『ビル・エル・ハルマート』時代からの仲間でしょ」
ラティーファは無理矢理坊っちゃんを背負った。
坊っちゃんは初めは不服そうな顔をしていたが、すぐ寝入ってしまう。
(ふふふ。あたしは一人っ子だから、時々、兄弟のいる人が羨ましくなるんだよね」
旦那さんとシラネさんとか、エウフェミアちゃんとエウフロシネちゃんとか、あっ、そうだっ!こうしちゃいられない。早く、シナン君たちを追いかけて、エウフロシネちゃんを助けないと)
ラティーファは坊っちゃんを背負ったまま、早足で駆け出した。
◇◇◇
旦那さんと戦っていた敵の指揮官にも、他の二人の相次ぐ闘死は伝わって来た。
「ぐっ」
敵の指揮官は力勝負になっていたレーザーセイバーを外し、距離を取った。
(状況が変わってしまった。旦那さんと真剣勝負するしかないか)
敵の指揮官は、レーザーセイバーを中段に構えた。
◇◇◇
(むっ)
旦那さんも察した。
(目の色が変わった。やる気になったな)
次の瞬間、敵の指揮官は、旦那さんに突進し、斬撃を加えて来た。
もちろん、旦那さんは、がっちり受け止める。
敵の指揮官は、|これまでのように、そのまま、力勝負には持ち込まず、すぐに距離を取る。
それを見た旦那さんも距離を取る。
◇◇◇
旦那さんは、敵の指揮官に語りかける。
「理由はさっぱり俺にはわからないが、やる気を出してくれたのは嬉しいぜぃ」
敵の指揮官は何も答えず、再度、旦那さんに向けて突進する。
「そうかい。会話はレーザーセイバーでしようってのかい。それはそれで嬉しいぜぃ」
旦那さんも応えるかのように、敵の指揮官に突進する。
バチンッ
レーザーセイバー同士が激突し、弾けたような音を立てる。
やはり、そのまま力勝負には行かず、互いに距離を取る。
二合三合と重ねるうちに、旦那さんのレーザーセイバーの発光は加速度的に増して来た。




