76 あっ あは あははは
ドンッ
今度は、乾いた発射音が一帯に響いた。
「あ」
周囲の者は思わず言葉を発した。
顔面を射抜かれた敵の指揮官は、静かにその場に崩れ落ちた。
周囲の者は、一斉に発射音が発したあたりを振り返る。
そこには、両足を踏ん張り、両手でしっかりレーザーブラスターを握るエウフェミアの姿があった。
◇◇◇
「エウフェミアちゃん。よ……く……やった……ね」
シナンはそれだけ言うと、気を失った。
「あっ、あはっ、あはははっ」
エフフェミアはレーザーブラスターの発射で精神力を使い果たしたらしく、そのままそこに座り込んだ。
アナベルはただ茫然としている。
「星間警察職員」と「偵察局員」も茫然としている。
◇◇◇
だが、「星間警察職員」の一人が、すぐに正気を取り戻した。
「おっおいっ、すぐに救援を呼べっ! 重傷者1名。至急、医療班の派遣を要請だっ!」
「星間警察職員」と「偵察局員」は次々正気を取り戻し、あわただしく活動を再開する。
そんな中、アナベルは、ただ、その場に立ちすくんでいた。
(私は、私は、何をやっているんでしょう。一介の学生であるシナンさんやエウフェミアさんが、こんなに体を張って頑張っているのに、私は……)
◇◇◇
(もう一歩、もう一歩なんだけど……)
ラティーファの敵の指揮官への斬撃は全て受け止められてしまっている。
幸運にも超心理学技術の才能に恵まれたラティーファだが、正式な戦闘訓練は一切受けていない。
力任せにレーザーセイバーを振り、力任せに突進する。
余分な力が入り、疲労の蓄積も早い。
(ふっ、息が上がって来たな)
敵の指揮官はほくそ笑んだ。
(ラティーファに疲労が溜まり、動きが悪くなったら一気に決める。返す刀で坊っちゃんも斬る)
(いけないっ、このままではやられる。何とかしないと)
坊っちゃんを焦燥感が襲っていた。




