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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第五章 要塞惑星

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212 アタシハツヨイモノトタタカイタイ

 ラティーファのその答えに、シラネは力なくその場に崩れ落ちた。


 「シラネさん。ラティーファさんを責めないで下さい。ラティーファさんはとても賢明な方です。悩みに悩み、相当の決意をもって臨んだ行動なんです」

 ルカイヤの言葉に、シラネは更にうなだれた。


 「分かっているさ。分かっているからこそ、情けないんだ。自分の力の無さが。旦那さん(実の兄貴)とその彼女をそこまで追い込んだ自分の力の無さが。あたしだって分かっているんだ。そうしなきゃ、今のパウリーネに勝てないってことは……」


 「……」


 「だがっ! それでもっ! それでもっ! 生きていてくれっ! 頼むっ! 旦那さん(兄貴)もっ!ラティーファちゃんもっ!」


 ラティーファは黙って頷いた。



 ◇◇◇



 やがて、旦那(だん)さんとパトリーネの打ち合いは長く続くようになってきた。


 「ちょっと待って下さい」

 ルカイヤが何かに気付いた。


 「パウリーネ様が何か言ってませんか?」


 そこにいた者全員が耳をそばだてた。


 「……ア……タ……シ……ハ……ツ……ヨイ……モノト……タタ……カ……イタ……イ」


 「!」


 「戻って来ているっ! 以前のパウリーネ様が戻って来ているっ!」

 ルカイヤは声を張り上げた。


 「これで…… 後は旦那さん(兄貴)がどこまでもつかだな」

 シラネは祈るような気持ちになった。



 ◇◇◇



 旦那(だん)さんは4回目のチャージオンをした。即座にシラネは駆け出し、パウリーネと打ち合いを始める。


 ラティーファが両脇を抱え、連れ戻した旦那(だん)さんは素人目にも疲労の蓄積がはっきり見えてきた。


 もはや、ラティーファが旦那(だん)さんとするディープキスは恋愛関係に対する関心などかけらもなく、ただただ固唾を飲んで、戦況を見守るための対象でしかなかった。


 旦那(だん)さんは程なく自分を取り戻した。そして、すぐに言った。

 「シラネ(姐御)に引き上げるように言ってくれ」


 シラネに声をかけようとしたラティーファをアナベルが制止した。

 「待って下さい。次の時間稼ぎは私が行きます。旦那(だん)さんとラティーファさんはもう1回だけ、シラネさんと話し合って下さい」




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