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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第五章 要塞惑星

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209/230

209 少しだけって何だ 何とかするって何をだ

 そうこうしているうちに旦那(だん)さんはパウリーネのすぐそばにまで近づくことに成功した。


 パウリーネもレーザーセイバーを振り回すことを止め、真正面に構え直した。


 旦那(だん)さんはいったん距離をとると、助走をつけてパウリーネに向かって突撃した。


 パウリーネは旦那(だん)さんの剣撃をいとも簡単に弾き返した。

 

 旦那(だん)さんは真後ろに倒れたが、すぐに立ち上がり、再度助走をつけてパウリーネに剣撃を加える。

 

 今度はパウリーネはがっちり受け止めたが、やはり、弾き返し、旦那(だん)さんは真後ろに倒れた。


 旦那(だん)さんは初めからそれを予測していたかのように、素早く立ち上がる。


 シラネは気が付いた。

 「おいっ! 旦那さん(兄貴)のレーザーセイバー光ってきていないか?」



 ◇◇◇



 「光ってますね。チャージオンするかも」

 ラティーファも頷く。


 「おいっ、そうなると少しまずくないか? 多分、旦那さん(兄貴)がチャージオンしても今のパウリーネに勝てるとは思えない。下手すると記憶喪失でパウリーネの真ん前に残ることになるぞ」


 シラネの懸念に、ラティーファは少し逡巡したが答えた。

 「その時は、すみませんが、シラネさん、『少しだけ』パウリーネさんを防いで貰えますか? あたしが……何とかします……」


 「うん。まあ、いいけど……」

 シラネは腑に落ちなかった。

 (『少しだけ』って何だ? 『何とかする』って何をだ?)


 そうした中、旦那(だん)さんは三度目の突撃を敢行し、今度はパウリーネと打ち合いになった。


 旦那(だん)さんのレーザーセイバーの光は、いよいよ煌煌として来た。


 旦那(だん)さんは三度目にして、初めて自分から距離を取り、四度目の突撃を敢行した。


 レーザーセイバーの輝きは眩いばかりになり、旦那(だん)さんは突撃しながら叫んだ。


 「チャージオンッ!」と。



 ◇◇◇



 天に届かんばかりの白い光の柱が立ち昇り、旦那(だん)さんとパウリーネを包んだ。


 白い光が徐々に消えだした時、シラネとラティーファは光の元に向かった。


 予想通りだった。


 白い光の中には、平然と立つパウリーネと記憶を失い、ふらふらと歩く旦那(だん)さんの姿があった。


 シラネはレーザーセイバーを中段に構え、パウリーネと対峙した。


 その間にラティーファは記憶を失った旦那(だん)さんを回収し、後方に下がった。


 シラネは旦那(だん)さんがそうしたように、ゆっくりとパウリーネに向かって前進を開始した。

 「さて、このあたしがパウリーネにどこまで通用するか……」




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