204 裏切り者に地獄を見せろ
「偵察局」の攻撃部隊は先頭はシラネとアナベル、続いて、旦那さんとラティーファ、その後に、ルカイヤと坊っちゃんのレーザーブラスターチーム、そして、シナンとオキニィのレーザーガンチーム、最後に20名の普通兵。半分の10名が『暗視装置』装着している。もう半分の10名は敵が強い光を放って来た時に備え、装着させていない。
「洗脳機関」サイドは第1から第4の4名の軍団長が待ち受けている。今回の作戦行動の指揮は第2軍団長のイワノフだ。
「来たな。強い気配が6、そこそこなのが2.ルカイヤも来てるな」
イワノフはほくそ笑むと続けた。
「予定通り奴を出せっ! 裏切り者に地獄を見せろっ!」
◇◇◇
「!」
「偵察局」の8名の精鋭はさすがにそう時間差なしにそのことに気が付いた。
だが、一番、最初に気が付いたのはルカイヤだった。
ルカイヤは気が付くと同時に走り出した。
「あっ、ルカイヤちゃん」
シラネにはルカイヤが急に走り出した理由がすぐに分かった。
それだけに制止したかった。だが一方で、制止出来ない理由も痛い程分かっていた。
ルカイヤは走り出しながら、叫んでいた。
「パウリーネ様っ! パウリーネ様っ!」と。
◇◇◇
パウリーネからの返答はなかった。
代わりにパウリーネが振ったレーザーセイバーの強烈な衝撃がルカイヤを襲った。
「うぐっ!」
ルカイヤは真後ろに倒れ、そのまま、後方に転がっていった。
大ケガに至らなかったのは、ルカイヤが本能的に受け身をとったからだろう。
「パウリーネ様っ!」
ルカイヤはすぐに立ち上がると、再度、パウリーネに駆け寄って行った。
そのことに対するパウリーネの答えは二度目のレーザーセイバーの縦振りだった。
「!」
ルカイヤは今度は無言のまま、後方に転がって行った。
ルカイヤは泣き顔で立ち上がり、そして、叫んだ。
「パウリーネ様っ! 私ですっ! ルカイヤですっ! 貴方の秘書。ルカイヤですっ! 助けにっ、助けに来たんですっ」
そして、みたび、パウリーネに駆け寄らんとする。
◇◇◇
「だめだっ! ルカイヤちゃんっ!」
シラネが後ろからルカイヤを羽交い絞めにする。
「離して下さいっ! 私はっ、私はっ! パウリーネ様を助けるんですっ!」
ルカイヤは全力でシラネから体を振りほどこうとする。
「だめだっ! ルカイヤちゃんっ! 今のパウリーネは普通じゃないっ! ラティーファちゃんっ、アナベルちゃんっ、ルカイヤちゃんを止めるのを手伝ってくれっ!」
ラティーファとアナベルはあわてて制止に加わる。
そこに冷たい笑い声が聞こえてくる。
「くくく。どうした、『偵察局』の諸君、いつもの調子が出ないようじゃないか」




