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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第五章 要塞惑星

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204/230

204 裏切り者に地獄を見せろ

 「偵察局」の攻撃部隊は先頭はシラネとアナベル、続いて、旦那(だん)さんとラティーファ、その後に、ルカイヤと坊っちゃんのレーザーブラスターチーム、そして、シナンとオキニィのレーザーガンチーム、最後に20名の普通兵。半分の10名が『暗視装置(ナイトヴィジョン)』装着している。もう半分の10名は敵が強い光を放って来た時に備え、装着させていない。


 「洗脳機関」サイドは第1から第4の4名の軍団長が待ち受けている。今回の作戦行動(オペレーション)の指揮は第2軍団長のイワノフだ。


 「来たな。強い気配が6、そこそこなのが2.ルカイヤも来てるな」

 イワノフはほくそ笑むと続けた。


 「予定通り奴を出せっ! 裏切り者に地獄を見せろっ!」



 ◇◇◇



 「!」

 「偵察局」の8名の精鋭はさすがにそう時間差(タイムラグ)なしにそのことに気が付いた。


 だが、一番、最初に気が付いたのはルカイヤだった。


 ルカイヤは気が付くと同時に走り出した。


 「あっ、ルカイヤちゃん」

 シラネにはルカイヤが急に走り出した理由がすぐに分かった。


 それだけに制止したかった。だが一方で、制止出来ない理由も痛い程分かっていた。


 ルカイヤは走り出しながら、叫んでいた。 

 「パウリーネ様っ! パウリーネ様っ!」と。



 ◇◇◇



 パウリーネからの返答はなかった。


 代わりにパウリーネが振ったレーザーセイバーの強烈な衝撃がルカイヤを襲った。


 「うぐっ!」

 ルカイヤは真後ろに倒れ、そのまま、後方に転がっていった。


 大ケガに至らなかったのは、ルカイヤが本能的に受け身をとったからだろう。


 「パウリーネ様っ!」

 ルカイヤはすぐに立ち上がると、再度、パウリーネに駆け寄って行った。


 そのことに対するパウリーネの答えは二度目のレーザーセイバーの縦振りだった。


 「!」

 ルカイヤは今度は無言のまま、後方に転がって行った。


 ルカイヤは泣き顔で立ち上がり、そして、叫んだ。

 「パウリーネ様っ! 私ですっ! ルカイヤですっ! 貴方の秘書。ルカイヤですっ! 助けにっ、助けに来たんですっ」


 そして、みたび、パウリーネに駆け寄らんとする。



 ◇◇◇



 「だめだっ! ルカイヤちゃんっ!」

 シラネが後ろからルカイヤを羽交い絞めにする。


 「離して下さいっ! 私はっ、私はっ! パウリーネ様を助けるんですっ!」

 ルカイヤは全力でシラネから体を振りほどこうとする。


 「だめだっ! ルカイヤちゃんっ! 今のパウリーネは普通じゃないっ! ラティーファちゃんっ、アナベルちゃんっ、ルカイヤちゃんを止めるのを手伝ってくれっ!」

 

 ラティーファとアナベルはあわてて制止に加わる。


 そこに冷たい笑い声が聞こえてくる。 


 「くくく。どうした、『偵察局』の諸君、いつもの調子が出ないようじゃないか」




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