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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第五章 要塞惑星

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202/230

202 千年も昔の骨とう品のような命令

 それから、ルカイヤは声を張り上げた。

 「『洗脳機関宙港防衛隊』のみなさん。『Stand or Die』などという千年も昔の骨とう品のような命令に従う必要はありません。『銀河帝国偵察局』は投降者の人権を保障します。『元第五軍団長秘書』のこの私が生きた証拠です」


 相手方の射撃が止まる。ルカイヤは続ける。

 「直ちに武器を捨てて、投降してください。人権は保障します」


 「それをやったら、俺たちは『洗脳機関』に戻れなくなる。そうなると、故郷の『銀河連邦』の惑星(ほし)にも帰れなくなる」


  「ふうーう」

 ルカイヤはわざとらしく大きな溜息をついた。


 「よおく考えてください。『洗脳機関』は忠誠を誓う者を故郷の惑星(ほし)に帰してくれたことがありますか? 死ぬまでの使い捨てじゃないですか?」


 「……」


 ガラン


 誰かがレーザーブラスターを投げ捨てた。


 ガランガラン


 誰かが続いた。


 惑星「バストーニュ」の宙港は2時間もたずに「銀河帝国偵察局」の手に落ちた。



 ◇◇◇



 「輸送機で侵入してから、宙港失陥まで12時間かからなかった? 全く、まともな連中じゃないな」

 「洗脳機関」第三軍団長のソローキンが嘆く。


 「予想していたことだ」

 第二軍団長で、今回の主宰者であるイワノフは淡々と返す。


 「それでどうなんだ? もう日没になるが、奴らはこっちに来るのか?」

 第一軍団長のパブロワが問う。


 「来るさ」

 答えるイワノフにパブロワは再度問う。


 「何故分かる?」


 「一息入れてまた明日なんて話をしてみろ。ルカイヤが激怒する。ルカイヤ(あいつ)の頭の中はパウリーネを取り戻すことでいっぱいなんだ」


 「あいつらここにパウリーネがいることを知っているのか?」


 「パウリーネはああいう状態だが、強さのオーラは消えていない。一定レベル以上の戦闘員ならいるとわかるはずだ」


 「で、当初の予定は変わらないのか?」


 「ああ、予定通りだ。偵察局の連中に地獄を見せてやる。こんなことなら対空砲火か宙港で撃退されていた方がましだったと思うくらいな」

 

 その時のイワノフの顔は他の3人の軍団長すら背筋を凍らせるものだった。




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