199 なんじゃそりゃ あたしら生身の人間だよ
「宙港を死守すること。『洗脳機関』の拠点への撤退は認めない。命令に背く者は射殺する。なお、向後の使用を考慮し、宙港の損傷は最低限とすること」
どうしろというのだ。500人はいた「狂信的暗殺者」を僅か1時間で全滅させた化け物どもを相手に……
戦うしかない 戦うしかないのか
「……」
◇◇◇
(来るっ!)
宙港の制圧に向かう精鋭8人は素早く察した。
凄まじい轟音と共に砲撃が8人を襲った。
8人は事前に回避したが、榴弾の破片が飛び散る。
そのいくつかはシナンをかすめた。一時的に激痛がシナンを襲う。
「シナン君。大丈夫か?」
シラネが気遣う。
「かすめただけです。大丈夫です」
シナンは気丈に答える。
ラティーファも回避しきれなかったが、こちらは旦那がレーザーセイバーで全て叩き落としている。
「シナン君。あたしの陰を走れ。あたしが破片を全て叩き落とす」
シラネの提案にシナンも従う。
◇◇◇
「対空砲を水平撃ちして来てるんですね」
ルカイヤが呆れたように言う。
「なんじゃそりゃ。装甲車輛と戦う時のやり方じゃないか。あたしらは生身の人間だぞ」
シラネも呆れる。
「とにかく迅速に敵に接近しましょう。所詮は長距離砲です。こちらが近づけば効果はなくなる」
ルカイヤは率先して走り出す。他の者も続く。
旦那さんとシラネが先頭に立ち、レーザーセイバーを旋回させ、破片を潰しながら進む。
潰し漏れはアナベルがレーザーセイバーで潰す。
同じレーザーセイバー使いでも、ラティーファには旦那さんもシラネも無理はさせなかった。
やがて、対空砲の砲撃が空しく8人を通り過ぎるようになると、宙港からレーザーブラスターの猛射が始まる。
◇◇◇
「宙港を壊す訳には行かないんですよね。僕らの出番は無しか」
シナンが嘆く。
「悪いね。敵の本拠を攻撃する時は、花を持たせるからさ」
シラネが宥める。




