196 ひぃー お手柔らかに
「あっ、てめぇ、オキニィッ! 対空砲火があって危ないから、てめぇが輸送機操縦しろって言ってたのに、何で勝手に空挺降下して来ちまうんだっ! 輸送機が危ないだろうがっ!」
食ってかかる勢いのシラネに、オキニィは冷静に答える。
「今どこに対空砲火があるんですか? みんな引き上げちゃいましたよ。輸送機の燃料の問題もあるし、ここは地上制圧を急ぐほうが上策です」
「ぐっ」
オキニィの正論にぐうの音も出ないシラネは矛先をラティーファとシナンに変えた。
「ラティーファちゃんにシナン。空挺降下がどれだか危険だが知ってるよね。いくら対空砲火が止んだからと言って、趣味のスカイダイビングと違って、着陸場所が決まってる訳じゃないんだ」
ラティーファとシナンに緊張が走る。
「あっ」
シナンがおもむろに声を上げる。
「『狂信的暗殺者』が近づいてきた。オキニィさん、レーザーガンを撃ちましょう」
シナンはオキニィを伴うと足早にその場を離れる。
「あーっ、シナン君。ズルイッ!」
ラティーファの叫びも空しく、シナンは去り、シラネはラティーファの首根っこを掴んだ。
「ラティーファちゃんはレーザーセイバーだから関係ないよね。さーて、何からお話しましょうか」
「ひぃ~、お手柔らかに」
◇◇◇
ズドドドドッドォォォォーン
シラネがラティーファに説教を始めようとしたその時に、オキニィとシナンの最大出力のレーザーガンが「狂信的暗殺者」の大群を直撃する。
「もういっちょ」
ズドドドドッドォォォォーン
「もう1回いけます?」
「大丈夫です」
ズドドドドッドォォォォーン
「敵の鎧は今の3発で結構な損傷を受けたはず。行きましょうっ、坊っちゃん」
「はい。ルカイヤさん」
ルカイヤと坊っちゃんは前線に飛び出し、再度、シンクロした攻撃を再開する。
「今度はまた頭部を狙って見ませんか? ルカイヤさん。鎧はダメージ受けているはずだから、うまくすると、一撃で倒せます」
「いいアイデアだと思います。坊っちゃん」




