195 私何か地雷踏みましたか?
「ごめんごめん。あたしも前線出るの久しぶりじゃない。ちょっと力試ししたかったんだよね」
「だからって、いきなり斬りかかって来ますか? 何ですかその戦闘好きぶり。まるで、旦那さんじゃないですか」
「……」
不意に赤面し、黙り込むラティーファ。
(あれ? 私何か地雷踏みましたか?)
当惑するアナベル。
◇◇◇
後方の二人も仮面を外し、近づいてくる。
「アナベルさん。体格で僕らだって分かりませんでしたか?」
笑顔で問うシナン。
「そんな余裕ないですよ。もう必死ですから」
口をとがらせて返すアナベル。
もう一人はオキニィだ。
「シナンさん。そろそろやりませんか?」
「そうですね」
シナンは頷いた。
◇◇◇
「みなさ~んっ!長距離砲が入りまーす。一時、引き上げてくださーい」
シナンが声を張り上げる。
「長距離砲?」
「私たちの他は空挺降下しないで、宙港を接収してから降機する予定でしたが、続けて空挺降下した人がいるんですか?」
坊っちゃんとルカイヤは怪訝そうに思いながらも、射撃を中止し振り返る。
「あっ、ラティーファに、シナンさんにオキニィさん、輸送機降りて来ちゃったんだ。無茶するなぁ~。素人が空挺降下したの?」
坊っちゃんの問いに、ラティーファは笑顔で答える。
「偉いでしょ。えへん」
「ちっとも偉くないよ。多分、シラネさんはカンカンになって怒るから覚悟しといてね」
「うぐっ」
ラティーファは固まった。
◇◇◇
程なく旦那さんとシラネも戻ってくる。
「狂信的暗殺者」はまだたくさんいるが、進行はゆっくりなので、多少の時間は稼げる。




