191 我が兄貴ながら化け物
「我が兄貴ながら、あのぶっ飛びようには感心するわ。人間としての性能の殆どが『戦闘』に割かれちゃってるんだよな」
「本当にパウリーネ様の男性版って気がします」
「ははは、パウリーネと会って話すのが楽しみになってきたよ」
「ええ。お会い出来ますよ。もうすぐ…… 必ず……」
◇◇◇
どこからともなく飛来した弾丸が旦那さんを襲う。
しかし、まるで体中に目があるかのように、微塵も動揺を見せることなく淡々と回避した。
すると、敵も意地になったか、道の真ん中を堂々と歩く旦那さんを集中的に狙撃する。
だが、やはり見たところ、弾丸の方が旦那さんを忌み嫌うかのように当たらない。
「本当、我が兄貴ながら『化け物』だわ。あたしもルカイヤちゃんも弾幕の回避は出来るけど、ああまで敵を挑発しながらはやらんだろう」
呆れるシラネに、ルカイヤも同調する。
「そうですね。私は今、何を見ているのでしょう」
(いえいえ。シラネさんとルカイヤさんも十分凄いですよ……)
アナベルは思ったが、口に出せなかった。
(『弾幕の回避は出来る』って、職業軍人でも普通に口にしませんって)
◇◇◇
傍若無人に歩いていた旦那さんだが、宙港のすぐそばに来ると立ち止まり、レーザーセイバーを握り直した。
「来たね」
坊っちゃんも緊張した面持ちになる。
シラネとルカイヤも会話を止めた。
来ているのだ。
大嫌いな「あれ」が……
◇◇◇
それは、ガチャリガチャリと音を立てていた。
今まではその不快な音はなかった。
なぜ、その不快なものは、不快な音まで立てるようになったのか?
その理由はすぐ分かった。
全身をSM(super material)の鎧で覆った『狂信的暗殺者』の大群が視界に入って来たから……




