187 私の首が飛ぶだけじゃすまない
「で、シラネ君。惑星『バストーニュ』にパウリーネがいるという情報は信憑性が高そうか?」
偵察局長の問いにシラネは今度はすぐ答える。
「それは高いと思う」
「何故だ?」
「パウリーネを人質に取っているところを見せつけるからこそ、ルカイヤちゃんの動きを封じることが出来る。いると言って、いないとなるとルカイヤのことだ。怒りだして、爆撃機で惑星『バストーニュ』の軍事施設丸焼きにしましょうとか言いだしかねないぞ」
「やめてくれ。私の首が飛ぶだけじゃすまない」
「『洗脳機関』もルカイヤちゃんが何をしでかすか分からないのは重々承知のはずだ。恐らく本当だろう」
「シラネ君も行ってくれるか? 惑星『バストーニュ』に。実はルカイヤ君が独りでもパウリーネを取り戻しに行くと言って、譲らなくて、困っていたんだ」
「ああ、今度が本当の最終決戦になる。大学のマリア先生にも頼んで、ラティーファちゃん、シナン、エウフェミアちゃんも連れて行く。総力戦だ。これで終わらせる」
◇◇◇
ミッドラント社製輸送機「ソーラ」は惑星「バストーニュ」の大気圏内に突入した。
操縦桿を握るのはシラネである。
徐々に高度を下げると、地上からの対空砲火が開始された。
「そうら来た」
シラネは巧みに操縦桿を操り、対空砲火を回避する。
「ルカイヤちゃん。『洗脳機関』の対空砲はどのくらいだ?」
ルカイヤは即答する。
「一番威力のある『アハトアハト』は2門と言ったところですね。後はそれより威力の落ちる76ミリ砲がいくつか、旧式の37ミリ砲もあるようですね」
「ふむ。うちの戦闘航宙機『フランク』を呼んで黙らせるか。空挺降下するには対空砲を全部潰さないと危ないか?」
ルカイヤは頭を振る。
「ここの最精鋭のみなさんからすると『アハトアハト』と念のため76ミリを潰しておけば間違いないでしょう。旦那さん、坊っちゃん、それにシラネ様なら『アハトアハト』が撃って来ても大丈夫でしょうが……」




