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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第五章 要塞惑星

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185 おびきだして殺す

 「総裁が『洗脳機関』の解体を言いだした」


 「何だと」


 場の空気は一気に凍った。そんな中、第四軍団長のボロディンがやっと言葉を絞り出した。


 「とにかく分かるように順を追って説明してくれ。パブロワ」


 「ああ」

 パブロワは椅子に座り直すと、語りだした。



 ◇◇◇



 「もともと『洗脳機関』は非合法(イリーガル)な組織だ。総裁は『情報局長』という表の顔を持っている。『洗脳機関』をトカゲのしっぽにして切り落としても痛くもかゆくもない」


 「だが、『洗脳機関(うち)』は『情報局』では出来ない汚れ仕事をやってきた。相当、『銀河帝国民』からカネを巻き上げてきたし、『銀河帝国』の人的資源も削ってきた」


 「それは事実だが、最近は成果が上がっていない。稼げない非合法(イリーガル)な組織は整理の対象だそうだ」


 「薄情な。確かに最近成果が上がってはいないが、見切りが早すぎないか?」


 「それには理由がある」


 「何があるというんだ?」



 ◇◇◇



 「もう、連邦中枢部では公然の秘密だが、書記長の命はもう長くない」


 「そんな馬鹿な。最近、顔色が良くないとは思ったが、普通に執務しているだろう」


 「国内を混乱させないため、相当無理をしている」


 「それと『洗脳機関(うち)』の解体に何の関係がある?」


 「今の書記長の後継の最有力候補が情報局長なんだ」


 「!」


 「国家元首の座に就く前に汚れ仕事の組織は整理しときたいって訳だ」


 「なんて野郎だ。汚い」


 「面白くない。何とかならないのか」


 「…… やるしかないな」


 「何をやるって言うんだ? イワノフ」


 「情報局長が『洗脳機関(うち)』を解体する前に文句のつけようのない戦果を上げるしかないだろう」


 「『偵察局()』にルカイヤがいては難しいぞ」


 「ああ分かっている。だから、最初にルカイヤを殺す」


 「どうやって?」


 「おびき出す。おびき出して殺す」


 「まさか……」


 「ああ、パウリーネをおとりに使う。そうすれば、ルカイヤは必ず出てくる」






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