183 兄貴と張れるレーザーセイバー使いは他にいない
「『パウリーネ』? 元『バストーニュ防衛軍』の将軍の? 彼女は生きているのか?」
「生きているさ。旦那さんと張れるレーザーセイバー使いなんか銀河中探したって他にいない。殺すなんてもったいないことしないよ」
「ふーむ。でも、何で『パウリーネ』が再登場した時が惑星『バストーニュ』奪還の時期なんだ?」
「一つはルカイヤちゃんだ。今『偵察局』が『洗脳機関』に対して優位なのは彼女の功績だろう」
「それはそのとおりだ」
「だが、ルカイヤちゃんは『パウリーネ』を信奉している。『パウリーネ』が見つかったとなれば、全てを擲ってでも救出に向かうだろう」
「そうなのか?」
「だが、今『偵察局』がルカイヤちゃんを失ったら、どうなる?」
「想像したくもないな。大損害なんてもんじゃない。『偵察局』の存亡にかかわるぞ」
「そうだろ。そうなるとこっちも全面的にバックアップしなきゃいけない。総力戦だ。当然、惑星『バストーニュ』も対象になる」
「もう一つは?」
「『パウリーネ』そのものがほしい」
◇◇◇
「確かにルカイヤ君に加え、『パウリーネ』が我が陣営に加われば、心強いが……」
「『パウリーネ』が手に入るなら、総力戦をやる価値がある」
「そこまでか」
「ああ、あたしも今はミラー社長の理解もあり、『偵察局』に全面協力してるが、いつまでもそういう訳にはいかない」
「それは悪いと思っている」
「いや、『偵察局』はあたしがいなくても回る体制が出来つつあるんだ。参謀にルカイヤちゃんがついて、副官クラスも坊っちゃん、アナベルちゃん、オキニィと揃って来ている。だが、後一つピースが足りない」
「それはなんだ?」
「中心になる大将だ。あたしはそこに『パウリーネ』をはめれば、完成になると思っている」
「そこに旦那さんを置くのは駄目なのか?」
「旦那さんは……」




