181 それが貴方がたのレベルですか
「指揮官」が先導し建物に入ると、レーザーブラスター使いたちも敗戦を悟り、武器を捨てて投降する。
「洗脳中の方たちはどこにいるのですか?」
アナベルの問いに、「指揮官」は奥の部屋であると答える。
逆に洗脳中の者を「処分」するのか? という「指揮官」の問いに、アナベルは笑みを浮かべて答える。
「『処分』? 何を言っているんです」
アナベルは姿勢を正すと指示を出す。
「レーザーブラスターチームは『麻痺銃』の準備を。『指揮官』はゆっくりと扉を開いて下さい。今更ですけど、妙なことはしませんよね?」
「指揮官」は淡々とした、それでいて迫力のあるアナベルの言に、極度に緊張しながらもゆっくりと扉を開ける。
その先には……
未だ『狂信的暗殺者』になりきれていない者たちが呻き声をあげている。
「偵察局員」は手早く『洗脳マシン』を切断し、暴れるなりきれていない者たちに『麻痺銃』を撃ち込み、鎮静化させて捕縛していく。
アナベルは呆然としている「地元警察職員」に指示を下す。
「お手数ですが、捕縛した者たちを警察署まで護送して下さい。最終的に『偵察局』で引き取ります」
「地元警察職員」は我に返ると、アナベルの指示に従って作業を始める。
「指揮官」は苦虫を嚙み潰したような表情でしばらく作業を見守っていたが、やがて、意を決したように重い口を開いた。
「『なりきれていない者』たちを捕まえてどうしようというんです。あれはもう人ではない。人体実験にでも使うんですか?」
その問いに、アナベルは静かな怒りを込めて、答える。
「それが『洗脳機関』のレベルですかっ?」
「!」
「指揮官」は珍しいアナベルの怒りに黙り込む。
「まあ、見ていてください。『偵察局』の最新式の『洗脳からの回復システム』を。『洗脳機関』のやっていることが如何に無意味か教えて差し上げましょう」
(背筋が凍るとはきっとこういうことを言うのだ)
「指揮官」はアナベルの発言を聞いて、そう思った。




