179 同じ人数ですか 腕が鳴ります
それを受けてか、建物の正面口から「洗脳機関」のレーザーセイバー使いたちが飛び出してくる。
「オキニィさんたち。さすがでしたね。さて、今度は私たちの番ですよ」
アナベルは周りの「偵察局」のレーザーセイバー使いたちに声をかける。
「はい」
レーザーセイバー使いたちは返事をするとともに、ゆっくりと「洗脳機関」のレーザーセイバー使いたちに向かって前進していく。
◇◇◇
「洗脳機関」のレーザーセイバー使い、通称「指揮官」は5人出て来た。
恐らく全体の人数から考えても、かなりこの惑星に重点を置いた配置だろう。
奇しくも「偵察局」サイドもアナベルを入れて5人。
「同じ人数ですか…… 腕が鳴りますね」
アナベルは大きくレーザーセイバーを振りかぶると突進した。
それを合図に他の4人も「洗脳機関」の「指揮官」に向けて、突進する。
バチッ
アナベルのレーザーセイバーと「指揮官」のレーザーセイバーが激突し、音を発する。
アナベルとレーザーセイバーを合わせた「指揮官」は一歩二歩と後ずさる。
(あれ?)
その行動を不審に思ったアナベルはレーザーセイバーを外し、いったん距離を取る。
そして、再度、レーザーセイバーを振り上げ、突進する。
「指揮官」はそれを辛うじて受け止め、またも二、三歩後ずさる。
(油断を誘うための演技?)
今までアナベルがレーザーセイバーを使って戦闘をした時、演習、実戦を問わず、相手が後ずさりしたことなどなかった。
アナベルの不審に思う気持ちは消えず、再度、距離を取る。
相手の「指揮官」は肩で息をしている。
ちらりと横目で周囲の戦況を眺める。
レーザーセイバーが煌煌と光っているのは全て「偵察局」サイドの方だ。「洗脳機関」サイドのその光は鈍い。
(これはひょっとすると……)
アナベルには思うことがあった。ギャンブルだが勝算は十二分にある。
レーザーセイバーの柄をより力を入れて握り、大上段に構えた。




