169 銀河最強の兄妹ゲンカ
「!」
男は右手首を掴まれ、更に後ろから首を絞められた。
「まったく、シラネさんの御慧眼には恐れ入りますね。『洗脳機関』は絶対、撤退してくる『バストーニュ防衛軍』の中に暗殺者を紛れ込まして来るから、とっ捕まえろですか。その通りでしたね」
「…… うぐっ」
「おっと、自死なんかさせませんよ。お話していただきたいことはたくさんありますからね」
アナベルは手早く暗殺者を気絶させると、縛り上げた。
「さあて、シラネさんをお呼びして、訊問してもらいましょう。そろそろ、『銀河最強の兄妹ゲンカ』も一段落ついた頃でしょうしね」
◇◇◇
「航宙艇」は最寄りの大規模な医療機関を持つ惑星「リエージュ」に着陸した。
「何としてでも、ルカイヤの命だけは助けてくれ。大袈裟ではなく『銀河帝国』全体の運命がかかってるんだ。カネに糸目はつけねぇ」
シラネの悲痛な訴えに、担当医師も応えた。
「全力を尽くします。有難いことにシラネさんの初期対応も、その後のアナベルさんの対症も完璧です。救命の可能性は低くない。ただ……」
「ただ…… 一部の『サイボーグ化』は避けられないか……」
医師は黙って頷いた。
「『サイボーグ化』するとなると、惑星『リエージュ』じゃ対応できないか。首都星系まで行かないと。リハビリにもある程度、時間かかるな」
「おっしゃる通りです」
「分かった。ここにはアナベルちゃんとオキニィを残そう。あたしもそろそろ帰らないと『ミッドラント』に支障が出る。くどくて悪いが、何としても助けてやってくれ」
「全力を尽くします。いえ、必ず助けます」




