165 俺を怒らせなければならない法律でもあるのか
「クソ野郎がっ! クソ野郎がっ!」
旦那さんは叫びながら、レーザーセイバーを振り回す。
「なんだってこんな気色悪い戦闘員をたくさん作りやがるんだっ! クソ野郎がっ!」
◇◇◇
「旦那さんっ!」
後方から坊っちゃんの声がかかる。
「アナベルさんとオキニィさんが帰って来た。撤収しよう」
「やっとかあ。待ってたぜい」
己の意思で力と技を磨いた者との闘いならいつまでも続けていたい。
だが、己の意思でなく、「洗脳」で人でない戦闘生物となされたもの、そんな奴との闘いは嫌だ。
本当に嫌だ。
軽やかな足取りで自陣に駆け戻る旦那さんを襲ったのは敵陣からのレーザーブラスターの一斉射撃だった。
◇◇◇
「ちいっ!」
旦那さんは戦場中に響き渡る大きな音で舌打ちした。
「この惑星には、俺を怒らせなければいけない法律でもあるのかっ?」
もちろん、そんな射撃は旦那さんには当たりはしない。
「銀河一のレーザーセイバー使い。その評判に嘘はないようだな。ホタカ・スカイ」
「ホタカ・スカイ? 何だそれは?」
坊っちゃんが呆れて、突っ込む。
「旦那さんの名前でしょ。また、忘れたの?」
「だってさ。俺のこと『旦那さん』『旦那さん』呼ぶのは坊っちゃんじゃん」
更に敵陣からレーザーブラスターの一斉射撃が入る。
もちろん、当たらない。
「随分と余裕じゃないか。ホタカ・スカイ」
ソローキンは淡々と呼びかける。
「ご期待の正規部隊にこちらの『指揮官』も何人も連れて来た。一戦交えようじゃないか。ホタカ・スカイ」
「確かに強そうなのが、ひとりふたり…… 七人か。随分、豪勢じゃないか」
旦那さんはレーザーセイバーを構えた。
◇◇◇
ゴツン
旦那さんの頭部を突如衝撃が襲った。




