163 全く悪趣味な
大きなトラックが何台も湖の近くに到着した。
トラックから一斉に降り立ったのは狂信的暗殺者である。
「! 何ですか? あの鉄仮面は?」
坊っちゃんは初めて見る異形の姿に、思わず声を上げる。
「あれで頭部への射撃をブロックするんです。こちらが頭部を撃って撃退する戦法を編み出したことへの対抗策のようです」
「ふーむ」
バストーニュ防衛軍隊員の説明を聞いた坊っちゃんは四股を踏ん張り、真正面にレーザーブラスターを構える。
「むんっ」
念を入れ、狂信的暗殺者にレーザーブラスターの一撃を加える。
先頭を進む狂信的暗殺者の頭部に大きな衝撃がかかる。
期せずして後ろに倒れ、そのまま何名も後ろに将棋倒しになって行く。
「おおっ!」
バストーニュ防衛軍隊員の間で歓声があがる。
だがそれはすぐに失望の声に変わった。
倒された狂信的暗殺者はほどなく立ち上がり、前進を再開したからである。
「もうちょっと近距離ではどうか。もう少し近づいたら、もう一度試してみます」
坊っちゃんは冷静だ。
旦那さんは不機嫌を隠そうとしない。
「全く悪趣味な」
色々な意味で狂信的暗殺者が大嫌いなのである。
◇◇◇
狂信的暗殺者が双方の射程距離ギリギリにまで前進してくる。
坊っちゃんは再度四股を踏ん張り、念を込めて、レーザーセイバーを撃ち出す。
ズドオォォォ
衝撃音と共に、先頭を歩く狂信的暗殺者が後方に大きく吹き飛ばされ、周囲の何人もの狂信的暗殺者も巻き添えになり、吹き飛ばされる。
「……」
今度はどうだ? バストーニュ防衛軍は前方を注視する。




