158 SMM軍団だがな
「どういうつもりですか……」
ルカイヤは静かに怒っていた。
「どういうもこういうも、そちらの上司が退屈そうにしてたから、気を遣ったまでだよ」
ソローキンはしれっとした感じで答える。
「パウリーネ様を釘付けにしても、レーザーセイバー使いの数では、こちらが勝っています。どういう意図か分かりかねます」
「今のままではそうだろうな」
ソローキンはほくそ笑む。
(思ったより、相手方の仕掛けが早い。こっちの切り札が間に合ってくれるといいんですが……)
ルカイヤは内心焦燥していた。
宙港方面から爆発音が轟いたのは、それからおよそ十分後のことだった。
◇◇◇
「何をしました?」
ルカイヤは怒りの形相で、イワノフとソローキンを睨んだ。
「ふっ、貴様の部下から報告が上がるだろう」
イワノフは冷たく言い放った。
「ルカイヤ様っ」
程なく現場から報告が上がる。
「どうしました?」
「『銀河連邦』の輸送機から狂信的暗殺者が次々出てきて、宙港を攻撃しています」
(ふうっ)
ルカイヤは大きく息を吐き、続けた。
「頭部を狙って射撃し、撃退してください。何度も模擬訓練してきたとおりに実施してください」
「それが……」
「?」
「頭部に『鉄仮面』のようなものを着用していて、射撃をはね返します」
「!」
思わずルカイヤはイワノフとソローキンの方に向き返す。
それに気付いたイワノフは高笑いする。
「はあっはっはっ、どうだ? 我が『鉄仮面軍団』の実力は?正確には『鉄』ではなく、超高分子量ポリエチレンを元にした特殊金属製だから『SMM(special material mask)軍団』だがな」
「くっ」
ルカイヤは唇を噛んだ。




