155 そういうの大嫌い 何とかして
「で、どうする?」
「『銀河帝国』を刺激しないという条件がある以上、大規模な軍事行動はできまい」
「となると『外交交渉』か『計略』か」
「そもそも、『洗脳機関』名で外交を申し込んでも、受け入れないかもしれんぞ」
「それについては考えがある。奴らが門戸を開かざるを得ない名目を立てればいい」
「『外交交渉』では拒絶される可能性が大きい。『計略』では残念ながら、あのルカイヤの方が我々の上を行くのではないか?」
「ならば、『外交交渉』と『計略』を組み合わせればいい」
「ふん。先の『大戦争』の時は子どもだった小娘どもだ。我々はあの時はもう工作員だった。キャリアの違いを見せてやろう」
◇◇◇
「『銀河連邦』が使節団を送って来る?」
さすがのパウリーネも不快感を隠さなかった。
「そうです。しかも、このメンバー。実質、『洗脳機関』です」
ルカイヤもうんざりした表情を見せた。
「断っちゃいな。『洗脳機関』との交渉はしないって言ってさ」
「それが断りづらいように仕組んであるんですよね」
「ええーっ? やだなあ~」
「もともと『第五軍団』の構成員は『銀河連邦』出身者と『銀河帝国』内で募集した者の混成部隊です。そのうち『銀河連邦』出身者で故郷に帰りたがっている者を引き取りに行くと言ってるんですよ」
「帰りたがっているのとかいるの?」
「あまりいないとは思いますが、ゼロとも言えないです」
「人道上、断れないようにしやがったか。んじゃ、帰りたい奴は帰らせるとして、後の交渉はお断りでいけば」
「そこなんですよね」
「へ?」
「向こうだって、そんなことは重々承知だと思うのですよ。ということは、何か裏で仕掛けて来るつもりではないかと」
「うわっ。やだやだ。そういうの大嫌い。ルカイヤちゃん、何とかして」
「考えてみますが、どうなるか……」




