154 無茶ぶりもいいとこだな
「ルカイヤのことだから、早いうちから『バストーニュ』に目をつけて、政治工作してたんだろうね。人のことは言えないが、ありゃあ、まともじゃないよ」
「そういったことから、懇切丁寧に説明するしかないだろうな。ああ、頭が痛い。それになあ……」
「それに?」
「陛下に今後の対策を問われると思うんだわ。今後、『バストーニュ』どうするんだって」
「行政上は立派な『銀河帝国』内の一惑星だからね。帝国法規上は『不法占拠』ってことになる」
「このままって訳にはいかない。かと言って、あそこは『要塞』だ。奪還しろったって、大規模な軍事行動が必要になる。だが、あそこは『銀河連邦』との勢力境界線にほど近い」
「脅威を理由に『銀河連邦』も兵力動員をかけるだろうね」
「そうなりゃ今度こそ全面戦争になりかねん」
「まあ、皇帝陛下は賢明な方だ。その辺はよく分かっていると思うよ」
「それが救いだ。だが、どうするか……」
「あたしは『外交交渉』しかないと思う」
「ほう」
「パウリーネもルカイヤも話が分からない奴じゃない。戦っていて思ったが、奴らの考え方は『洗脳機関』より、むしろ『偵察局』に近い。絶対、交渉する価値はあると思う」
「分かった。それは気に留めておく」
◇◇◇
「やってくれたな」
「ああ、全くだ」
「書記長はカンカンになって怒っているそうだ。総裁は穏便になんとかしろと言ってきた」
「穏便になんとかしろと言ったって、どうすりゃいいんだ?」
「洗脳機関」本部の一室。がん首並べているのは第一から第四の軍団長たちである。
「全銀河に向けて『独立宣言』発信しやがったからな。当然『銀河連邦』のトップの書記長にもばれる」
「書記長は『洗脳機関』の一個軍団が『銀河帝国』の要塞となる惑星を占拠したと聞いたまではご満悦だったが」
「総裁が我々が第五軍団長とその秘書に辞任勧告をしたら、相手がへそまげて『独立宣言』されたと説明したら、激怒したそうだ」
「それで、『銀河帝国』を刺激しないで、惑星『バストーニュ』と『第五軍団』を取り戻せと」
「無茶ぶりもいいところだな」




