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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第四章 水の惑星Ⅱ

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148/230

148 全面開戦だぞってアピールしてるのか

 「ケースBQでいいんですね?」

 機長はルカイヤに問うた。


 「その通りです。辛うじて準備が間に合ったの……ですか?」


 「そうです。難攻不落要塞の完成です。銀河中に眼にもの見せてやりましょう」


 「そうですね」

 ルカイヤは静かに笑顔を見せた。その笑顔の裏に複雑な感情があることは誰も知らなかった。


 いや、姐御ことシラネ・スカイだけは何となく気付いていたかもしれない。



 ◇◇◇



 「惑星『バストーニュ』に入ったのか?」

 偵察局長の問いに、シラネは珍しく力なく答えた。


 「ああ、それに気付いて、大慌てで追撃したんだが、間に合わなかった。すまん」


 「うーん。最後の最後でしてやられたなあ」


 惑星『バストーニュ』。先の「大戦争(グレートウォー)」で「銀河連合」が難攻不落要塞と称した惑星である。


 現に「銀河同盟」の侵攻で周囲の惑星群は次々陥落する中、「バストーニュ」だけは「銀河連合」が保持し続けた。


 補給ルートを切断されることを恐れた「銀河同盟」は何回となく強襲をしかけたが、ついに終戦までの4年間、陥落することはなかった。


 「だけど、どうする気なんかな。ここまでやると『銀河帝国』内の一惑星を『洗脳機関』が不法占拠したことになる。それはつまり『銀河帝国』に真正面からケンカ売ったってことだ」

 偵察局長のもっともな疑問に、シラネは自論を述べる。


 「バックに『銀河連邦』がいるってことだね」


 「うっ、やはりそうか」


 「そりゃそうだよ。『アクア3(スリー)』で使った『航宙艇エミリー』は『銀河帝国』製のものではあるが、所詮は型落ちの旧式だ。だが、今回使った『垂直離着陸航宙機フォージャー』は……」


 「現役バリバリだよ。『銀河連邦』内の紛争でもよく使われている」


 「そういうこと。それを連邦内の同盟国でもない犯罪組織が持ってるって、後方支援されてますって言ってるようなもんだよ」


 「やばいなあ。これ以上『洗脳機関(うち)』に手を出すと、『銀河連邦』との全面開戦だぞってアピールしてるのか?」



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