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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第四章 水の惑星Ⅱ

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147/230

147 最後の最後で大魚を逃した

 「ルカイヤさん。貴方という人を戦闘で失うのは耐えがたい損失です。投降してください。相応の応対をさせていただきます」


 「ありがたいお言葉ですね。で、パウリーネ様はどうされるおつもりです」


 「もちろん、丁重に応対させていただきます」


 「ふふ。アナベル(貴方)は真っ直ぐでとてもいい人ですね。そういう人は好きですよ」


 「ルカイヤさん」

 アナベルは一段と真剣な表情になった。


 「『ビル・エル・ハルマート』で戦乱に巻き込まれ、難民となって苦労されたことを私も聞きました。だけど、ルカイヤ(貴方)の高い能力が犯罪組織である『洗脳機関』などで使われている現状は私にとって、残念な事実でしかありません。どうか投降して、私たちにその力を貸してください」


 「ふふ。犯罪組織ですか、そのとおりですね。でも……」


 ルカイヤは不意に上空を指差した。

 「それでも、『洗脳機関』の中には難民の娘である、この私を慕ってくれる人もいるのですよ。このように……」



 ◇◇◇



 上空からはゆっくりと垂直離着陸航宙機が降下して来ていた。


 「!」


 「坊っちゃんっ、あれは?」

 アナベルは思わず坊っちゃんに問いかける。


 「えっ? あれはアブドゥルさん(長老)の設計したミッドラント社製じゃない。あれは……」

 「…… 『フォージャー』。そんな馬鹿な。『銀河連邦』側の航宙機だよ。あれ」

 坊っちゃんも驚愕の色が隠せない。


 そうこうしているうちに垂直離着陸航宙機は着陸し、パウリーネを抱えたルカイヤはそそくさと搭乗し、また、離陸していった。


 誰かが叫んだ。

 「呆然として見てるだけじゃ駄目だ。射撃しないと」


 「いえ。いいです」

 坊っちゃんが遮った。


 「撃っても当たらないでしょう。もう一歩で、今回は『偵察局(僕ら)』の完勝だったのに、最後の最後で大魚を逃した」




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― 新着の感想 ―
[一言] >『フォージャー』 な……懐かしい (´;ω;`)ウッ… なんだか敵側を応援したくなる最近です (*´▽`*)ノ~♪
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