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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第四章 水の惑星Ⅱ

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141/230

141 悪女として歴史に名を残すのもいいでしょう

 ルカイヤから下される冷徹な指令に「洗脳機関」の砲兵は背筋に寒いものが走った。


 (これはもう戦争だ。だが、指令に従わない訳にはいかない……)


 「洗脳機関」の砲兵が照準を上空の輸送機に切り替えた時、それは起こった。



 ◇◇◇



 (ミッドラント社製『フランク』戦闘航宙機!)


 高高度で哨戒していた護衛機は急降下すると、対空砲付近に機銃掃射を浴びせた。


 対空砲の砲座はあっと言う間に破壊され、砲兵はその場に倒れた。


 「すぐに負傷した者を宙港に後送し、他の惑星(ほし)の医療機関に送って下さいっ!」

 ルカイヤが最初に下した指示はそれだった。


 「私たちもすぐに駆けつけます。それまで無理のない範囲で持ちこたえて下さい」


 ルカイヤたちが到着する前に、旦那だんさんと坊っちゃんは既に地上に着いていた。


 「洗脳機関第五軍団」のレーザーセイバー使いが応戦に前に出る。


 後方では、輸送機からアナベルたちも空挺降下を開始する。


 (ふふふ。この『銀河の火薬庫』で本格戦闘やろうってんですか? シラネ・スカイ。いいでしょう。貴方となら、二人で『第二次(セカンド)大戦争(グレートウォー)』の導火線に火を付けた悪女として、歴史に名を残すのもいいでしょう)

 ルカイヤは一人そう思った。



 ◇◇◇


 

 旦那だんさんは、「洗脳機関第五軍団」のレーザーセイバー使い二名を向こうに回し、互角以上の斬り合いを演じていた。


 坊っちゃんは背後でレーザーブラスターを構えながら、旦那だんさんの戦いぶりを注視する。


 拠点工場に籠った「洗脳機関第五軍団」の兵も射撃を中止し、戦闘に見入る。


 (…… 旦那だんさん)

 坊っちゃんは気が付いた。


 (強くなっている。『ビル・エル・ハルマート』で二人を相手にした時は、苦戦していたのに、今はむしろ圧倒している……)


 (強くなっている理由は…… やはり……)


 パウリーネとの戦闘だろう。だが、それは裏返せば、パウリーネも強くなっているということだ。


 「どうなるかな……」

 坊っちゃんは呟いた。


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