134 今回は授業料だよ
「そうする。後、地元警察にはだいぶ『洗脳機関第五軍団』の息がかかっている奴がいるようだな。この情報は先に知りたかったな。まあ、いい」
「本当だよ。それが分かってれば、まだ、打つ手もあったんだけど……」
「ふふふ。まあ、今回は授業料だよ。ふふふ」
「何か、シラネさん。嬉しそうじゃない」
「だから、姐御と呼ぶなっちゅーに。このルカイヤって、『洗脳機関』の秘書。大胆な作戦が好きなくせに、部下の損失を極端に嫌うようだ。こういう奴は敵でも憎めなくてな」
「はああ。僕はやっぱりアナベルさんが心配だよ。辞職願とか出さなければいいけど……」
「ふふふ。舐めんじゃないよ。坊っちゃん。あの娘はラティーファちゃんと同じこのあたしの妹分だよ。最後は必ず這い上がってくるよ。一回りでかくなってね」
◇◇◇
シラネは内部リークされたものと戦闘現場で撮影されたルカイヤの写真をラティーファに送信し、面識を問うた。
「うーん。『アクア3』では遠目で見ただけだったけど、確かに『ビル・エル・ハルマート』出身っぽい風貌だね。でも、ごめん。面識ないや。アブドゥル技師長なら知ってるかもしれないけど……」
「そうだね。アブドゥル技師長に聞いてみるよ」
シラネからルカイヤの写真を見せられたアブドゥルは 呟いた。
「ルカイヤ。ルカイヤと言ったのか。今、25歳なら、19年前の大空襲の時は6歳か。まさか……」




