129 とっととこの場を立ち去れ
アナベルとオキニィ、それに、「洗脳機関」の「指揮官」二名との白兵戦が始まる。
戦い方も対照的だった。
積極的に敵に斬撃を加えるアナベルと慎重に刃を交わすオキニィ。
双方の射撃は止んだ。射撃を背に平気で戦えるのは、旦那さんとシラネくらいである。
だが、レーザーブラスター使いたちは隙あらば、敵の「指揮官」を射殺すべく、チャンスを窺う。
一方、「洗脳機関」側の射撃は白兵戦を行う四名のところまで射程が届かない。
(白兵戦になっても優勢だ。大丈夫)
アナベルの士気は高揚していた。
◇◇◇
二合三合とレーザーセイバーの打ち合いが続く。
傍目にはオキニィは互角の勝負。アナベルは少し優勢に見えた。
だが、それは起こった。
後方の地元警察の者の中で銃声がした。それと共に怒鳴り声が聞こえてくる。
「今回のこと聞いていない奴っ! 命が惜しければ、とっととこの場から立ち去れっ!」
二十人いた地元警察の者のうち、大半が蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていく。
だが、残った者のうち一人がアナベルを狙撃した。
「!」
致命的な命中にはならなかったが、その一撃はアナベルの右足のふくろはぎをえぐる。
「ぐっ!」
形勢は一気に逆転した。
◇◇◇
「貴様っ! 何てことしやがるっ!」
激高したレーザーブラスター使いの五名は一斉に狙撃者に向けて、発射する。
「ぐおっ」
レーザーブラスターの直撃を喰らった狙撃者はその場に崩れ落ち、絶命した。
もちろん、残った地元警察の者にも、レーザーセイバー使い達は容赦しない。
逃走する地元警察の者たちを追いかけながら、攻撃する。
「ばっ、馬鹿っ!」
オキニィが声を上げる。
「敵の術中にはまるんじゃないっ! アナベルを援護しろっ!」
アナベルは気丈にも戦闘を続けていたが、負傷個所の激痛と出血による劣勢は否みようがなかった。
「洗脳機関」の「指揮官」の斬撃を辛うじて防いでいるが、それも限界に来ている。
「これで終わりだっ! 死ねっ!」
「洗脳機関」の「指揮官」の強力な斬撃がアナベルを襲う。




