127 少なすぎます
「恐らくここが『洗脳機関』の施設ではないかというところは見当がついています」
惑星「ウィルツ」の地元警察はアナベルたちにそう報告した。
「『指揮官』が二人いることも確認出来ています」
アナベルはレーザーセイバーを握る手に力を入れた。
「ウィルツ」の現場指揮はアナベルに任されている。
旦那さんと坊っちゃんは航宙機から降りず、外宇宙を哨戒している。五つの惑星で何かアクシデントがあったときに備えているのだ。
「『洗脳機関』が本格的に攻撃してくる前に、その施設を潰しましょう」
アナベルの提案をオキニィは軽く制する。
「『洗脳機関』の『指揮官』以外の兵数は?」
地元警察の者は一瞬、焦燥の表情を浮かべたが、すぐに答えた。
「正確なところはわかりませんが、二十名ほどかと」
オキニィは少し考えた後、続ける。
「『狂信的暗殺者はいるのですか?」
地元警察の者はやはり一瞬緊張の表情を見せたが、すぐに答えた。
「今のところ、確認されておりません」
(まだ時期が早いから動員出来ないってことか……)
考え込んだオキニィに代わるかのように、今度はアナベルが再質問した。
「ここの警察の人数は? どの位、『洗脳機関』への攻撃に動員して貰えますか?」
「全部で三十人いますから、頑張って十人くらいは……」
「少な過ぎますっ!」
その言葉をアナベルが一喝する。
「三十人いるなら、二十人は動員して下さいっ!」
地元警察の者は露骨に不快の表情を示したが、渋々言った。
「努力しましょう」
「急いで下さいっ! 『洗脳機関』の援軍が来る前に潰したい」
先走るアナベルにオキニィはあわてて付け加える。
「すみません。ここには火砲や爆薬はないのですか?」
「ここは『警察』です。『軍』じゃない。そんなものはありません」
最後は地元警察の者は不機嫌さを隠さなかった。




