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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第四章 水の惑星Ⅱ

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125/230

125 世の中には岡目八目という言葉があってな

 出来るだけフォロー出来るようにしたとは言え、危険な作戦には変わりない。


 偵察局長は志願者を募った。


 真っ先に手を挙げたのはアナベルである。


 「やっぱ、あの『アナベル()』が手を挙げたか」

 シラネは考え込んだ。


 「まずいか? 『アナベル(彼女)』は真面目で一所懸命で優秀だろう」

 偵察局長が宥めにかかる。


 「だから、困るんだ。土壇場で命を捨てて、目的を果たそうとしかねない。『洗脳機関』の戦いは長期戦になる。途中で死んでほしくない」


 「『相棒(バディ)』に冷静な奴を置いたらどうだ?」


 「おっ、局長にしてはナイスアイディア。そうだな…… 『オキニィ』はどうだ? 多分、引き受けると思う」


 「局長()にしてはとは何だ? それに何故『オキニィ』が引き受けると分かる?」


 「世の中には『岡目八目』という言葉があってな。あたしも結婚してからそういうのが分かるようになったのさ」


 「よく分らんが、確かに『オキニィ』は冷静な男だ。頼んでみるか」



 ◇◇◇



 偵察局長は、アナベルとオキニィを呼び、惑星「ウィルツ」への派遣を言い渡した。


 「はいっ!」

 次の瞬間、アナベルは大きな声で了承した。


 オキニィは緊張のせいか、硬直している。


 (ええと)

 偵察局長はシラネから指示されたメモを再確認すると、オキニィに耳打ちした。


 「オキニィ君。シラネ君から伝言だ。『何としてもアナベル君を守れ。男を見せろ。但し、死ぬことは許さん。二人とも生きて帰れ。これは絶対命令だ』だそうだ」


 それを聞いたオキニィは真っ赤になった。


 (成程。そういうことか。合点がいった)

 偵察局長はしきりに頷いていた。


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