123 あまりにも都合が良すぎる話
「『洗脳機関』の拠点惑星と今後の進出予定惑星?」
「はい」
「確かに非常に有難い情報だが、あまりにも『偵察局』に都合の良すぎる話だ。『洗脳機関』の謀略の可能性もあるだろう」
偵察局長のもっともな疑問に、部下も慎重に答える。
「内部リークとのことです。『洗脳機関』内部の派閥争いからではないかと推測されています」
「……」
偵察局長はしばらく沈思黙考したが、やがて、口を開く。
「確かに派閥争いはどこの組織でもあり得ることだ。ましてや、あんな非合法なことをする組織だ。人の足を引っ張ってでも、のし上がりたいという奴は必ずいるだろう……」
「はい」
「だが、それを差し引いても『洗脳機関』の罠である可能性は否定できない。それくらい、『偵察局』に都合の良すぎる話だ」
「はい」
「とりあえずは、『星間警察』を通じて、『地元警察』に情報収集して貰ってくれ。その上で、シラネ君とも相談して、『レーザーセイバー使い』や旦那さんと坊っちゃんを派遣するか決める。くれぐれも『洗脳機関』の術中にはまり、貴重な戦力を失うことだけは回避しよう」
「はい。後、一点だけ申し上げてよいですか?」
「何かね」
「今回、出て来た情報の中にある五つの惑星ですが、今までの『ビル・エル・ハルマート』や『アクア3』とは大きな相違点があります」
「相違点? 何が違うとの言うのかね」
「今度の五つの惑星は全て『銀河連邦』との国境に近い惑星です」
「! 今回のことは『銀河連邦』が関与しているかもしれないと言うのか?」
「その可能性も留意しておいた方がよいかと……」
「わかった。覚えておこう」
(今後の打つ手によっては、全面戦争の導火線になりかねないというのか)
偵察局長は溜息をついた。




