122 ほほう豪勢ですな
「ふんっ。何だ、この作戦案はっ!」
『洗脳機関』の本部、第二軍団長は、作戦案の記された資料を床に叩きつけた。
「ほう。第五軍団の秘書の小娘が作った奴ですか? あの『ゴリ押し秘書』が」
側近の者が声をかける。
「見ろっ。『指揮官』を十一人も使って、四つの惑星に展開するだと」
「ほほう。豪勢ですな。第二軍団などは、『ビル・エル・ハルマート』と『アクア3』で七人もの『指揮官』を喪失してますからな。少し、分けて貰いたいくらいだ」
「一番頭に来るのはここだっ! 少しでも危なければその惑星から撤収し、機動的展開をするだあ。あいつら戦闘を舐めてるんじゃないのか?」
「組織への忠誠心ってものが感じられませんね」
「全くだ。先に組織に殉じた七人を何だと思ってたんだ。おまえら、組織のために死ねないのかと言いたいよ」
「それでどうします。このまま小娘どもにやられっぱなしというのも……」
「普通で考えれば、こんな短い期間に十一人もの『指揮官』が作れるはずがない。どうせ、粗製乱造だろうから、放っといてもいいんだが……」
「それでも面白くないですね」
「全くだ。総裁も何を考えているんだっ! あんな小娘どもに帝国領内への浸透を任せて……」
「どうします?」
「よし。この作戦案を帝国の『偵察局』にリークしろ。こっちの正体がばれないようにして、相手に信じさせるのは厄介だが方法は任せる」
「やってみましょう。小娘どもに一泡吹かせて、帝国領内への浸透任務を『第二軍団』に取り戻しましょう」
「そうだ。いつまでも小娘どもにでかい顔はさせん」




