117 口八丁で丸め込む
(さあて)
ルカイヤは大きく伸びをする。
(今回も本部を口八丁で丸め込んだとはいえ、毎回、こういう訳にはいきませんし……)
(また、『銀河帝国』内の幾つかの惑星に拠点を作るといたしましょう)
ルカイヤは内線を繋ぐ。
「先行潜入チームの訓練教程は順調ですか?」
「順調です。ですが……」
「ですが?」
「救援チームの方が遅れ気味です」
「よろしい」
ルカイヤは静かに、だが、力強く言った。
「全チームが完全に教程を完了するまで、作戦は発動させません」
「はっ、はい」
「本部が何を言って来ようが、私が止めます。貴方たちは完全に教程を完了させて下さい」
「はいっ」
◇◇◇
「ふんっ」
シラネは至近距離から斬撃を打ち込む。
「くっ」
その訓練生は右足を踏ん張り、それを受け止めた。
そして、力を込め、シラネの模擬刀をはね返す。
「むんっ」
シラネはその力を利用し、後方へ跳躍、着地と共に両足を踏ん張り、模擬刀を中段に構えると、再度、訓練生に斬撃を加えに行く。
訓練生はそれも止め、今度は力勝負になる。
シラネは模擬刀を相手の模擬刀から外すと、距離を取る。
今度は模擬刀を大上段に構え、雄たけびと共に訓練生に突進。
強力な斬撃に、訓練生は足を踏ん張り、辛うじて止めるが、シラネの短い距離で振りかぶり、一気に叩きつけた斬撃には、たまらず模擬刀を取りこぼした。
「勝負あったね」
シラネは肩で息をしながら、笑顔で語りかける。
「参りました」
その訓練生は頭を下げた。
「いや、いい勝負だったよ。まだ若いし、もっと強くなるよ。練習真面目にやってるのがよく分かったよ。アナベルちゃん」
アナベルは笑顔を見せる。
どこからか拍手が沸き起こり、周囲の者も笑顔になる。




