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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第四章 水の惑星Ⅱ

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115/230

115 今回はどんな屁理屈こねて

 「えっ?」

 状況を注視していた者全員が息を飲んだ。


 離水せんとしていた「航宙艇」は重力に従い、垂直に再度着水した。


 シナンの放ったレーザーガンの一撃は「航宙艇」の上方を空しく抜けて行く。


 その直後、「航宙艇」は嘲笑(あざわら)うかのように再度離水し、中空に消えて行った。



 ◇◇◇



 「それで、その後のことは何も分からないのか?」

 偵察局長の問いに坊っちゃんは力なく答える。


 「ええ。本当に。なんのために攻撃してきたか、分からずじまいです」


 「うーん」

 偵察局長も考え込む。


 「強いて考えれば、『人材育成機関』に対する『威力偵察』か、あるいは『洗脳機関()』も旦那(だん)さんと同等の戦闘力を持つ者がいるとのアピールか……」


 「どちらにしても、あれ程の労力をかけてまでやることじゃないと思えるがね」


 「そうなんですよね」


 「後は今後どうするかだなぁ。『射撃訓練コース』はこのままでいいとして、『剣術訓練コース』がなぁ……」


 「シラネさん(姐御)に相談してみたら」


 「そうするか」



 ◇◇◇



 「来た来た来たぁ~。本部から来たぁ~」

 ルカイヤは通信画面を見つめて叫んだ。


 「今回の作戦(オペレーション)でかかった費用(コスト)、得られた成果、更にそもそもの初期目的が不明瞭、再度、説明されたし…… まあ、ごもっともな御照会ですわね」


 後方ではパウリーネがヴァーチャルリアリティマシンにかかっている。


 チャージオン後の記憶喪失から早期に立ち直らせるためにルカイヤが開発したシステムである。


 「ルカイヤ様」

 部下が声をかける。

 「パウリーネ様のプログラムがそろそろ終わりそうですが……」


 「こないだの作戦(オペレーション)で、旦那さん(強敵)()った時のやつ、もう一回見せてやって、VOL.32ね。当分、強い奴と戦わせろと言い出さないように」


 「はい」


 ルカイヤはディスプレイに向かい直した。

 「さあて、今回はどんな屁理屈こねて、弁明するかな」




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