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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第四章 水の惑星Ⅱ

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111/230

111 来た! 来た! 来たぁっ!

 「シナンさん。レーザーガン使って、敵の前線崩せないですか?」

 坊っちゃんの問いかけに、シナンは首を(ひね)る。


 「撃つことは撃てるが、敵も散開しているし、どこまで効果があるのか…… 後は強いの撃ち過ぎると、後ろの『航宙艇』が飛べなくなる可能性が……」


 「成程。『航宙艇』が飛べなくなると、敵はここに孤立した形になるから、死に物狂いで来ますね。勝ててもこっちも相当の損害が出る」


 「そう。それと坊っちゃん。さっきからどうにも理解に苦しんでいるんだけど……」


 「はい?」


 「速度の遅い『航宙艇』で侵入する技術があるんなら、僕だったら『爆撃機』侵入させて、ここの施設丸焼きにしちゃうけど……」


 「!」


 言われてみればそのとおりなのだ。


 その方がリスク面でも労力面でも絶対いい。


 敵があえてそうしない理由は?



 ◇◇◇



 「坊っちゃんっ! もう俺が行っていいよなっ!」

 レーザーセイバーをぐるぐる旋回させた旦那(だん)さんが前に飛び出す。


 「うっ、うん」

 坊っちゃんは渋々ながら(うなず)く。

 (本当はもうちょっと敵の戦力見たいけど…… どうせ止めたって行っちゃうだろうし……)


 旦那(だん)さんはいつものとおり、敵味方のレーザーブラスターの射撃が飛び交う中、平然と前線に躍り出る。



 ◇◇◇



 「来たあぁぁっ!」

 パウリーネは絶叫した。

 「来た! 来た! 来たぁっ! 行っていいよね? 行っていいよね? ルカイヤちゃんっ!」


 ルカイヤは淡々と返す。

 「行って下さい。今回は全てこのための作戦(オペレーション)ですから」


 「わーい。行って来まーすっ!」

 パウリーネはレーザーセイバーをぐるぐる旋回させて出て行く。


 その様子は、旦那(だん)さんのそれに酷似していた。






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