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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第四章 水の惑星Ⅱ

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108/230

108 強い波動みたいなものが頭に

 「ふーむ」

 通信の相手方は、偵察局長である。


 「坊っちゃんを責めている訳ではないが、では何故。『洗脳機関』はああまで『レーザーセイバー』使いを繰り出せるのだろう?」


 「わかりません。『偵察局(こっち)』では作れていない教程(カリキュラム)があるのかもしれませんが、だけど……」


 「だけど?」


 「『洗脳機関』の『指揮官(コマンダー)』で『チャージオン』を使えたのは一人もいません。また『偵察局(こっち)』サイドで『チャージオン』を使える三人を倒せたのもいません」


 「成程、それだけ『才能』がものを言うってことか。だがな、旦那(だん)さんのような最強が一人だけというより、ある程度戦えるのがたくさんいた方がやりやすいのも事実だ。改善できるようなところは改善して、出来るだけ成果が上がるようにしてもらえないか?」


 「はい……」

 坊ちゃんは頷いてはみたものの、先行きにとても自信は持てなかった。



 ◇◇◇



 約束していた派遣期間である二週間は瞬く間に過ぎた。


 課題であった「レーザーセイバー使い」の養成はお世辞にも達成できたとは言い難かった。


 そんな中でも、僅かな救いを求めるとすれば、多少は経験のあったアナベルとラティーファのレベルアップと他の者はとにかく「レーザーセイバー」に触れることが出来たということだろうか。


 もう、明日には臨時で派遣された学生たちは「学術研究惑星」に帰らなければならない。


 そんな、日の昼下がり、事件は起きた。



 ◇◇◇



 「来るっ!」

 真っ先に気付いたのは、やはり、旦那(だん)さんと坊っちゃんだった。


 二人はすぐさま己の武器を装備した。


 「何か、強い波動みたいなものが頭に響いてくるんだけど……」

 「シナンさんもですか? あたしもなんです」

 「敵が、それも強いのが近づいて来てるんだよ。二人とも覚悟してっ!」

 ラティーファはシナンとエウフェミアに声をかける。


 ある程度の期間、「超心理学(パラサイコジカル)技術(テクノロジー)」になじむとそういった勘が働くようになるらしい。


 敵の輸送機は一度島の上空を旋回すると、宙港ではなく、島の近くの海面に着水した。



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