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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第四章 水の惑星Ⅱ

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105/230

105 客を舐めてんじゃねえぞ

 だが……


 黒い影は背後から首根っこを(つか)まれた。


 「!」


 背後から迫った影は、黒い影の左足に己の左足をフックさせた。


 更に背後の影は、黒い影の右腕の下側に己の左腕を通し、相手の首筋に巻き付けてホールドすると、一気に背筋を伸ばした。


 「ぎぃやあぁぁぁ~」


 黒い影が悲鳴を上げる。


 「なんだなんだ」

 荒くれ海の男たちがわらわら集まる。


 一度は、『人材育成機関』の建物に向かい歩き出していたエウフェミアとシナンも駆け戻る。


 「おおっ!」

 荒くれ海の男たちは感嘆の声を上げる。


 「なんだ? あのホールド()は?」

 「知らんのか?」

 「あれは! あれこそはっ!」

 「地球(テラ)の古代史に出てくる伝説のレスラーアントニオ猪木が一度はフィニッシュホールド(必殺技)にしたという……」

 「『コブラツイスト』だっ!」


 「うおぉぉぉーっ!」

 もともと血の気の多い荒くれ海の男たちは仕事()を忘れて盛り上がる。



 ◇◇◇



 「ななな、いきなり何するんだよう。ラティーファあああ」

 いきなり、フィニッシュホールド(必殺技)を決められた旦那(だん)さんは泣きそうな声を上げる。


 「いきなり何するじゃあ」

 ラティーファはホールドを外さないまま、返答しながら、


 「ないよっ!」

 更に背筋を伸ばす。 


 「ぎぃえぇぇぇーっ」

 旦那(だん)さんの悲鳴が再度上がる。



 ◇◇◇



 「いいぞっ! ねえちゃん、もっとやれっ!」

 「おらおら、どうした? 旦那(だん)さんっ! 反撃しろっ! 反撃!」

 荒くれ海の男たち(ギャラリー)は更に盛り上がる。


 そんな中、旦那(だん)さんの口から言葉が漏れる。

 「ギッ、ギブアッ……」


 「ギブアップ~?」

 荒くれ海の男たち(ギャラリー)から一斉にブーイングが起きる。


 「おいこら、旦那(だん)さん。客を舐めてんじゃねえぞ」

 「そんな試合内容で金取る気か?」

 「レスラーとしてのプライドてぇもんがねぇのか?」


 「金返せっ!」

 誰かが叫んだ。


 「金返せっ!」

 「金返せっ!」

 いつしか大コールに変わって行った。


 「ちょっ、ちょっ、ちょっ、ちょっと待てっ!いつ俺が金取ったよ?」



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― 新着の感想 ―
[一言] >伝説のレスラーアントニオ猪木 おおお (∩´∀`)∩ どんどんぱふぱふ~♪ ネタが大好物でした (`・ω・´)ゞ ☆彡
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