101 仕事より魚が好きって
「何かね、最近、うちの島の男の人たち、凄く張り切って肉食魚漁やってて、漁獲量増えたって、ティモン、言ってたよ」
「仕事よりも魚が好きって、地球の古典の『◯りバカ日誌』かよぉ~」
「あの、どうなるんでしょう? 旦那さんも私たち訓練生も」
不安そうにアナベルが尋ねる。
「何もしてないものをしているって本部に報告上げても、訓練生の日誌との照合ですぐばれます。正直に何もしてないと報告するしかないです。僕に出来ることは、旦那さん一人に任せるとこうなるから、もっと旦那さんのフォローが出来る人を派遣して下さいとお願いすることしかないです」
坊っちゃんは力なく返した。
◇◇◇
「人材育成機関」から提出された報告と訓練生の日誌を見た偵察局長は衝撃のあまり突っ伏した。
「なっ、なんてこった。私らは旦那さんの真の恐ろしさを知らなかったということか」
部下は淡々と流す。
「予想は出来ましたが、坊っちゃんも自分の方の『射撃訓練コース』の指導があるから、フォローにも限界があったということですね。で、どうしましょう?」
「私も一度は旦那さんを注意はするつもりだが……」
「恐らく『糠にクギ』『とろろにミサイル』というところで、効果は期待できませんね」
「だよなぁ~。いっそ、シラネ君が講師をやってくれればいいんだが、物理的にそれは無理だし」
「短期的に講師で来てもらうというのはどうでしょう?」
「シラネ君はミッドラント財閥の要職だから、それも難しい。いや、待てよ。今、大学は前期が終わって、後期が始まるまでの休暇期間に入るところじゃなかったか?」
「そうですね。あ、もしかして?」
「うん、大学と交渉して、前回、『洗脳機関』と戦ってくれた三人を派遣して貰うのはどうだろう?」
「旦那さんやシラネ女史と違い、戦闘の専門家ではないですが、今の状況を考えると、まだましかもしれませんね。ただ、局長。シラネ女史の派遣交渉はダメもとでお願い出来ませんか?」
「分かった。それもやってみるよ」




