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クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第一章 月が照らす公園の中で
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ゆーれい?


――ピピピピピピ


 スマホのアラームが鳴る。もう朝か、深く眠ったせいが、あっという間に朝が来た。

遮光カーテンのこの部屋は、光が入ってきにくい。部屋の中は朝でも薄暗くなっている。


 鳴り続けるアラームを止めようと、布団から手を出しスマホを操作する。

馴れた手つきは、目を閉じたままでも問題なくできる。


 アラームを止め、布団の中に手を入れようとする。


――フニン


 ふと、手の甲に何か触れた気がした。ん? 今何かに触れたか?

まだ寝ぼけているのか、夢の中なのか。

俺は重い瞼をゆっくりとあけ、薄眼で周囲を確認する。


 ベッドの隣に誰かいる。白い服に、長い髪。そして一言も言葉を発さず、俺を見ている。

つ、ついに出たか! 俺は何もしていない。俺にはまだやりたいことがあるんだ!


 お、お化けとか怖くない! きっと俺の見間違えですよね! すいません!

一度しっかりと目を閉じるので、二回目に目を開けた時は消えていて下さい!

お願いします! 


 そんな事を考えながら俺は再び目を閉じ、合っているかもわからないお経を心の中で唱えていく。

は、初めて見た。この家に来て、古い家だから大丈夫かと思っていたけど、見てしまった!


 も、もういないよな? 目を開けますよ? いいですか?

一、二の三! 俺は目を開けることができなかった。

もしだよ、もしもう一度見てしまったら? そして、思っていたよりもすごい表情とかだったらどうする?

きっとトラウマになるよね。どうしましょう。ま、まだいるのかしら……。


 俺は布団からゆっくりと手を出し、恐る恐る白服の女がいたところを手で探ってみる。


――フニン


「っん……」


 いた! いました!

神様! 仏様! 何とかしてください! 今度は声も聞こえました!


 一体どうしたらいいんだ? 助けを呼ぶか? それともいきなり飛び起きて飛び蹴りをするか?

そもそも物理的攻撃とか効くのか? 頭が混乱する中、俺の脳は覚醒していった。


「お起きてますよね? まだ寝ているんですか? カーテン開けますよ?」


 シャーっとなるカーテンを開ける音を聞きながら、俺は恐る恐る目を開ける。

朝日の光が部屋の中に入ってくる。眩しい、体が解けてしまいそうだ……。


 段々と目が冴えていき、ベッドから起き上がった俺はあたりを見渡す。

カーテンを開けているのは物の怪ではなく、女神だ。

朝日の光を全身に浴び、白く輝くそのお姿はまさに女神。


 とは、さておき、姫川様ですね。そういえば昨夜泊めたんだっけ。

ぼけていたのか、朝だからなのか、すっかり忘れていた。


「今起きた。と言うか、何故俺の部屋にいるんだ?」


 カーテンを開け終わった姫川は、昨夜寝る時に着ていた服をまだ着ている。

ベッドの隣にちょこんと座りこみ、俺の方を見ている。


「昨夜寝る前に『明日起きたら、教えてくれ』と言われました。でも、連絡先を知らないので電話も出来ません。何回かノックをしたんですが、無音でした。アラームが鳴ったので、起きたと思い、悪いとは思いましたが入室させていただきました」


「た、確かに起きたら教えてくれと言ったな。うん、間違いがない。でもな、姫川。男には朝、一戦しなければならない。起きた直後にやってくるのは控えてくれ」


「ごめんなさい。でも、電話番号教えてもらえれば、連絡しますよ?」


 そういうと姫川は自分のスマホを取り出し、画面を俺に見せてくる。

これは番号交換しようと言う事でいいんだよな?

そういえば、クラスの女子の番号もとい、学校の女子誰の番号も俺のスマホには入っていない。

おめでとう姫川。あなたが一番だ。


 俺は姫川と電話番号やメッセージ交換アプリの情報を交換した。

そして、部屋から出て行こうとする姫川に俺は話しかける。


「朝飯は七時半。それまでは自由行動な。俺はちょっと走って来るから」


 日課として毎朝走る事にしている、たまに休む日もありますけどね。

まぁ、そんなに長い距離じゃないし、時間もそれなりにしかかかっていない。


 帰宅部だが、少しは運動しないと健康に悪い。

本気では取り組まないが、全くしないよりはましだ。

片耳にイヤフォンをいれ、いつもと同じ曲を流す。


 日もまだ高くなく、風がまだ若干冷たく感じる季節。

ジャージを着こみ、軽く街を走る。


 いつもにぎわっている商店街。子供たちが走り回っている公園、そしてお気に入りの駄菓子屋。

いつもと同じコースを走り、自宅に戻って来る。大体いつも同じくらいの時間だな。

タイム測っていないけど、縮んでいるのか? 今度計ってみるか。


 玄関を開け、シューズを脱ぐ。時計を見るとちょうど七時。

今から朝ごはんの準備をしたらちょうどいい時間だ。


 洗面所で手洗いうがいをした後、台所に行く。

扉の中から『トントントントン』と音が聞こえてきた。何してるんだ?


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