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クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第一章 月が照らす公園の中で
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好きな人いますか?


 変な所に気が付く高山を目の前に、俺の脳はフル加速する。

まさか、そんなところに気が付くとは夢にも思わなかった。

普通数回見ただけの筆跡とか判別付くか? 普通だったらつかないだろう。

しかし、高山はなぜか気が付いた。


「気のせいだろ?」


 とりあえず、普通にごまかしてみる。


「え? そうか? ここの文字とか瓜二つのような気がするんだが……」


 俺のノートと姫川のノートを二冊、目の前に開いて比べている。

うん。確かに似ているね。と言うより、同一人物なので、筆跡は同じだと思いますよ。


「高山。筆跡の確認とみんなで映画に行くのはどっちが優先事項だ? 映画に行けなくてもいいのか?」


 ハッと気が付いたように、高山は俺のノートを閉じる。


「そうだな。筆跡よりもテスト、そして映画!」


 高山の眼に炎が宿った気がした。


「ま、俺も頑張るから高山も頑張ってくれ。連絡先も交換したんだろ? 後には引けないよな?」


「その通り! 俺はやる時はやる男だと見てもらうんだ!」


 ありがとうございました。何とか上手くいきそうだ。


「ほら、次の授業始まるぞ」


「おっけ、おっけ。ほい、ノート返すな。後はナデシコノートを写すから」


 あっさりと返ってきた俺のノート。

姫川が書き込んだ自分のノートは俺にとって必要だが、問題が多すぎる感じがする。

たまたま高山だから何とかなったかもしれないが、見る人が見たらわかってしまうのか?

普通、個人の筆跡とか覚えないよな?




――キーンコーンカーンコーン


 放課後、高山が姫川にノートを返すと早々と姫川は教室を出て行った。

そうか、今日もバイトか。結構頑張ってるよな。


「じゃ、俺は保健室行ってから帰るからな」


「おう、少しノコベンしてから帰るわ。指、早く治るといいな」


「そうだな」


 バッグを片手に教室を出ると同時に、見慣れない男子生徒が何人か教室に入っていく。

俺とすれ違いに入って行った彼らは、ぱっとみ変な集団に見えてしまった。


 不良っぽい奴にオタクっぽい奴、それにそれなりのイケメンさんもいる。

何の集団だ? そして、不良っぽい奴が教壇の前で叫ぶ。


「高山はどいつだ! まだいるんだろ!」


 響き渡る声。そして、皆の視線が高山に集まる。


「高山は俺だが、どちら様で?」


 この状況にも動じない高山。

もしかしたらこいつは、思っているよりもできる奴なんじゃないか?


「お前が高山か! ちょっとつらかしな! 体育館裏に、今直ぐだ!」


 予定してたセリフだったのだろうか、勝手に入ってきた彼らは早々に教室を出ていく。

一体何をしようとしているんだ? 高山の方を見てみると、バッグに勉強道具をしまい込んでいる。

教室を出て行こうとした俺は再び教室に入り、高山の方に歩き始めた。


「まったく、めんどくさいな! 勉強の時間なくなるじゃないか!」


 ご立腹のような高山。喧嘩になったら、加勢した方がいいのか?

それとも、行かないでこのまま帰るのか?


「これからどうするんだ?」


「あ? めんどいけど行くよ。奴らの事はそれなりに知っているし……」


 どういう意味だ? 知っている? 高山の知人か?

いや、知人であればこんな形で呼び出しはしないだろ。


「俺もついていくか?」


「平気だ。彼らとは多分話し合いで終わるはずだ。天童はさっさと保健室にいって、早く帰れ」


 バッグを肩にかけ、高山は教室を出ていく。

それに合わせたかのように、クラスのメンバーも徐々に教室を出て行った。


 気が付くと、教室には俺ともう一人、杉本しかいなくなった。

ん? 杉本はなんで残っているんだ?


 杉本に声をかける。


「帰らないのか?」


 帰り支度はしていたのだろう。

バッグを机の上に置き、いつでも帰れるようになっているようだ。

下を向いていた顔を俺の方に向け、立ち上がってくる。


「少しだけお話がしたいんですが、いいですか……」


「別にいいが、歩きながらでも? この後保健室に呼び出されていてな」


「すぐに終わりますから……」


 二人で並んで教室を出る。

そう言えば、高校になってから女子と二人で校内を歩くのは初めてだな……。


 教室を出てしばらくすると、杉本が俺に話しかけてきた。


「あ、あの……。す、好きな人、いますか……? もしくは、気になる人とか……」


 本日二回目の脳内ブースト。

今日初めて会話をした女子に、何かすごい事を聞かれている気がする。

これは、俺に好意を持っているということか? それとも、罰ゲームとか何かで『聞いてこい』みたいな。


 好きな人、気になる人。いない訳ではない。でも、好きなのかは良くわからない。

多分、気にはなっていると思う。でも、ここではその事を言っても、言わなくてもどっちでもいいでは?

初めて会話をした女子に、そこまで話す必要はないだろ? 


 俺は自分の回答が出ないまま、無言で歩き続けた。


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