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クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第一章 月が照らす公園の中で
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青空ランチ会


「天童! ノート貸してくれ! 昼休みまでには返すからさ!」


 ホームルームが終わると、いの一番に声をかけてきた高山。

昼にノートを貸す約束だったが急に予定が入ってしまった。

恐らく昼までにノートを写し終えたいのだろう。


「ほら。とりあえず今日つかわない分を貸すから、終わったら返してくれ」


「サンキュー! 助かるぜ!」


 休憩時間も授業中もノートを写す高山。

写すより授業を聞いていた方がいいんじゃないかとも思ったが、まぁ気にするのはやめよう。

きっと、授業を受けつつノートも写す。

素晴らしい効率じゃないか高山。俺も見習いたい所だ。



――キーンコーンカーンコーン


「っしゃー! 昼だぜ昼! 行くぞ天童!」


 席を立ち、急いで教室を出ようとする高山。


「俺、購買行ってから行くから、先に行っててくれ」


「早く来いよ! 特等席とっておくからな!」


 周りの目を気にせず、本気でダッシュしている。

ノートは返却される事無く、そのまま目の前から消え去ってしまった。

片手にしっかりと昼飯の入ったと思われる袋を持ちながら。


 ノートは後で回収すればいいか。

購買で適当に買い込み、屋上へと向かう。

屋上へと続く階段を見上げると、二人の女子が見えた。

あ、この角度で見上げたらまずいな。

目線を下げそのままの状態で階段を上がっていく。


「天童さん?」


 俺に声をかけてきたのは姫川だ。


「なんだ、姫川か」


 姫川の隣にもう一人女子がいた。

えっと、誰だっけ? 確か同じクラスの奴だったよな?

確か杉本すぎもとだっけ?


「今から屋上にいくんですか?」


「あぁ、高山は先に場所取りしているはずだ」


「待たせるのも悪いので、行きましょうか」


 俺と杉本は軽く会釈した位で会話はなく、無言で屋上へと向かった。

空は快晴、少しだけ風が吹いており、絶好のお昼タイムになりそうだ。


「お待ちしておりましたっ!」


 高山が俺達の目の前に現れた。

まるで上客を相手にする商人のような現れ方。別にいつも通りでいいのに、何してるんだ?


 案内された場所にはシートが敷かれており、なぜか二人分のクッションまである。

どこから取り出した? クッションなんて持っていなかったよな?


「ささっ、どうぞどうぞ。クッションも準備してますので、こちらに!」


 案内された女子二名は、そのままクッションに座り込む。

俺と高山はシートに直座りだ。


「ありがとう。わざわざ準備してくれたんですか?」


「シートと一緒に準備いたしました! 全然手間じゃないですよ!」


 ニコニコしながら高山は話している。依然テンションは高いままだ。その熱意を勉強にでも向けてほしいものだな。


 全員が座り、互いの昼を準備する。

俺は購買のパンと牛乳。姫川も多分購買のサンドイッチだろう。

杉本は持参した弁当で、布巾に包まれた可愛い弁当箱が登場した。

高山はでっかい二段になった大型弁当箱。相当な量の米が入っている。


「では、姫川さんとのランチ会を祝してー、乾杯!」


 高山以外が普通に食事を始める。

高山は一人でペットボトルを天にも届きそうな高さまで上げている。

そんな彼を見るのはさすがの俺でも心が痛い。


「高山、そんなに嬉しいのか?」


「当たり前じゃないか! 天童は嬉しくないのか?」


「まぁ、一人で食べるよりはいいかもしれないが……」


 本当はちょっと嬉しい。自分の席で一人で食べる昼よりも、ちょっとだけ楽しく感じる。


「私は嬉しいですよ。皆とご飯。ね、彩音あやね


「うん……」


 姫川に話を振られた杉本は高山とは対照的にテンションが低い。

高山のテンションを半分渡したい位だ。

本当はこの場に来たくなかったんじゃないか?


「あ、紹介するね。同じクラスだけど、高山さん達はあまり話したこと無いでしょ? 彼女は杉本彩音すぎもとあやねさん」


「杉本さん! 俺、高山です! よろしくぅ!」


 弁当箱片手に声を上げる高山。


「天童です」


 パン片手に一言だけ話す俺。

俺は高山ほどテンションを上げることはできない。


「杉本です……」


 暗い。姫川よりも背が低く、髪は三つ編みで制服もぴっちりと校則通り。

そして長い前髪はメガネと目を隠し、表情がほぼ読み取れない。

うん。俺と似た人種かもしれないな!


「ところで、高山さん」


「何でしょうか?」


 なぜ姫川にだけそんな言葉使いに……。

杉本との温度差が激しいな。


「深夜にメッセを送るのは控えた方がいいと思いますよ。あんな時間に連絡を貰っても困ります。何より、もし寝ていたら睡眠を妨害する事にもなりますよ。相手の事を考えて、適切な時間に連絡をして頂けますか?」


「っう。なぜその事を……。いや、あれには深い訳がありまして……。と言うか、なぜ姫川さんがその事を?」


 そうですね。深夜のメッセについては、当事者しか知らない情報ですね。

俺は姫川と目線を交わし、互いに何かを訴えかけた。


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【連載中】 微笑みの天使の恋心 ~コスプレイヤーの彼女は夢を追いかけるカメラマンに恋をした~

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