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クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第一章 月が照らす公園の中で
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ダンジョン攻略


――自宅内ダンジョン 脱衣城


 俺はゆっくりと脱衣所に入り、前方を警戒しながら後ろの扉を閉める。

漆黒の鎧を身に纏った防御力は最高峰。

さらに生命力はとてつもない値を示している。


 そして、飛翔スキルが非常に厄介な黒き悪魔。

極めつけはその繁殖力。時折見せる『仲間を呼ぶ』コマンドは、できれば使われたくない。

流石の俺も複数相手にするのは、まだレベルが低い。



――カササササササッ


 いた! 視界の右下、あのカゴの陰に入っていた瞬間を見た!

やったぜ! 長期戦になるかと思ったが、思ったよりも早く決着がつきそうだ!

今日も俺の快勝だ!


 ゆっくりとカゴに手をかけ、そーっとずらし始める。

しかし、俺の目に入ってきたのは白と水色の何か。

ストライプ模様のこれは、もしかしたらあれかもしれない。

その証拠にその何かの下にはピンク色の姫川パジャマが置かれている。


 落ち着け俺。ここで動揺してはいけない。

これは奴の作戦だ。もし動揺し、この場を立ち去る事などあれば、それは俺の敗北を意味する。

そして、そのまま今日はノー風呂デーとなってしまう。


 それだけは避けなければ。

深く呼吸をするんだ。焦ってはいけない。

目線をカゴから移動させ、奴に目標を設定する。


 いた。奴はカゴの陰でその身を動かさず、きたる攻撃に備え、防御力を高めている。

俺は聖剣(丸めた新聞紙)で先制攻撃を行い、弱ったところをファイナルウェポン(殺虫剤)でとどめを刺す。

動かなくなった奴を新聞紙でとらえ、そのまま新聞紙を丸める。


 やった。今日も勝つことができた。奴の精神攻撃を耐え抜き、俺は見事に勝利をつかみ取る事が出来た。

いままで何戦もしていたが、今回が一番やばかった。


 脱衣所を後に、姫川を呼び出し、安全な事を伝えた。

念のため二人で脱衣所を見回し、本当に奴がいない事を確認。

恐らく今日はもう出てこないだろう。近いうちにスモークで全滅させてやる!


「大丈夫そうですね」


「ああ。さ、風呂に入ってゆっくりしてくれ」


 俺は脱衣所から出て扉を閉めようとしたが、扉の隙間から姫川が声をかけてきた。

まだ何かあるのか?


「えっと、聞きにくいのですが……、見ました?」

 

 ん? 何を見たか? やっぱあれですよね?

どう答えるのがベストだ?


「あー、見てない」


 しばし沈黙の時間が流れる。


「嘘ですね。カゴ、初めの位置からずれています」


 姫川はそのまま脱衣所の扉を閉めてしまった。


 俺が悪いのか? でもあの状況で見ない方が無理じゃないか?

だったら先に撤去してほしいな。もしくは上にタオルをかぶせるとか。


 あ、血が出たからタオルつかわせちゃったのかな?

悪いことしたな……。


「悪かった。でも、ちらっと見ただけで直視してないし、触ってもない」


 扉越しに姫川の声がする。


『恥ずかしいので、その話はもぅ終わりです!』


 怒られてしまった。

全く、今日位はゆっくりと出来ると思ったのに、踏んだり蹴ったりだ。


「じゃぁ、俺はリビングにいるな」


 姫川に一声かけ、リビングに戻る。

指が痛い。姫川の巻いてくれたハンカチをほどき、湿布を貼る。

その上からもう一度ハンカチを巻きつけた。


 姫川のハンカチ。少し血もついているし、汚してしまったな。

洗っても落ちなさそうだし、新しいハンカチをプレゼントするか……。


 ソファーに寝転び、天井を見ながらさっきの事を振り返ってみる。

姫川の叫び声、勢いよく開く扉、姫川の柔らかさ。

そして、半裸の姿に、タオルで血をふき取ってくれる仕草。

手のひらを天井に向け、ハンカチを見つめる。


 俺、何やってんだろ……。

何となく、自分が嫌になった。


 もっと、しっかりしないと。このままじゃダメだ!

ソファーから勢いよく起き上がり、テーブルに向かってノートと参考書を開く。


 俺は姫川に追いついていない。教わっている立場だ。

いつか逆転してやる。管理人として、姫川に勉強を教えてやることができるくらいに。


 それはきっと将来の為になる。

出来る事を、やれることをしていこう。


 時間は無限ではない。

目標を決め、計画を立て、実行していく。


 ペンを握りしめ、ノートに一文字目を書こうとした時、その瞬間が訪れた。


「痛い!」


 文字を書きかけた手は、ペンを持ったままその動きを止めた。

指の痛みに激しく襲われ、思わず叫んでしまった。

え、これって結構まずくないですか?


 俺は落ち着き、ゆっくりとペンを握る。

うん、軽く握るのは大丈夫だ。


 ノートに文字を書く。ゆっくりと優しく。

検証の結果、うっすらと薄い字を書くくらいなら大丈夫そうだ。

力を入れると痛みが出る。


 え? もしかして調理とか身支度とか大変になるんじゃ?

あ、バイトどうしよう……。この指で行けるのか?


 頬に少しだけ汗をかきながら、俺の脳内は今後の対策をどうしていこうかと、勉強とは関係のない所でフル回転させていく。


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【連載中】 微笑みの天使の恋心 ~コスプレイヤーの彼女は夢を追いかけるカメラマンに恋をした~

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