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クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第一章 月が照らす公園の中で
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条件


 手に握った二枚のチケットを持ち、少しにやけ顔になっている姫川。

どうやらこの試写会のチケットに興味があるようだ。


「先行試写会のチケットだ。この映画、興味あるか?」


「あります! この作品、見に行こうと思っていたんです」


 姫川はニコニコしながら俺に勢いよく返事をする。


「そうか、それは良かった。日程が決まっているみたいなんで、この日は空けておいてもらえるか?」


「もちろん! ありがとうございます。とっても楽しみですね」


 新しいおもちゃを与えられた子供のように満面の笑顔でチケットを握っている。

試写会はもう少し先になるが、すでに日時は決まっている。

今からバイト先のシフトも調整しておけば見に行くこともできるだろう。


「じゃ、このチケット二枚は姫川に渡しておくな」


「え? 私が持っているのですか?」


 おぉ、説明を忘れていた。高山ミッションについても軽く説明しておかなければ。


「このチケットは二枚とも姫川に。俺の後ろの席にいる高山からだ。俺と高山のチケットはすでに確保済みで、高山が持っている」


 この一言を伝えた途端、なぜか姫川から満面の笑顔が消え、無表情になっていく。

あれ? 俺は何か変な事を言ったのか? 説明間違ったのかな?

しばらく、姫川は無言になり、きつい目線で俺を見てくる。


「私は残りの一枚で何を?」


「だ、誰か女子を一人誘ってほしいってさ。姫川と仲がいい友達とか誘ってもいいんじゃないか?」


「……男女それぞれ二名、四人で見に行くと?」


「そうだ。四人で見に行く。姫川だって男と二人っきりで映画とか、気を使うだろ?」


 黙り込んでしまった姫川。

さっきまですごく嬉しそうにチケットを握っていたのに、今はロウソクの火のように今にも消えそうな表情だ。


 おかしいな、さっきまであんなに喜んでいたのに。

しばらく沈黙の時間が流れ、姫川は何かを思いついたように口を開き始めた。


「分かりました。条件があります」


「条件?」


「今度、五科目の簡易試験がありますよね?」


「あぁ、あるな。来週末だっけ?」


「そうです。その試験で、一科目でも私より点数が高い科目があれば、皆で行きましょう」


「それって、結構ハードル高くないですか?」


「簡単に受けてしまうと、これから誰かに誘われたら断りにくいじゃないですか」


 そうなのか? 普通に断ればいいだけのような気もするが、姫川にも何か事情があるんだろ。

聞くだけ野暮って事かな。


「そっか。じゃぁ、条件の事は高山に伝えておくよ」


「ち、ちなみに天童君はこの映画興味あります?」


 さっきよりも少しだけ表情がほんわかしている。

学校で見る姫川とは違い、ここでは随分表情に起伏があるな。

学校と自宅との差なのか。


「まぁ、多少は興味があるな」


「嫌なのに無理して行くわけではないですよね?」


「無理はしてないぞ。俺だって恋愛映画の一つくらい見るさ」


「そうですか。では、このチケット預かっておきますね」


「あぁ、無くすなよ」


 チケットを片手に部屋を出ていく姫川。

心なしかその足取りが軽いように見えた。


 さて、変な条件を出されたな。高山は条件クリアできるのか?

姫川って結構どころか、学年でもトップだからな。

まぁ、一科目くらいだったら何とかなるだろ。

頑張れ高山! これを機に、もう少し勉強する時間を増やした方がいいんじゃないか?



――


 そして、夕飯の支度を二人でして、食卓に着き夕食を取り始める。

不意にテレビから今回の映画のコマーシャルが流れてきた。


 若い男女の恋物語。

主人公もヒロインも高校生で、互いに好きだったが、すれ違いがあり結局その恋は叶わない。

数年後、大人になった二人が再び出会い、お互いの気持ちを伝え、ハッピーエンドとなるストーリーだ。

ストーリーこそ普通っぽいが、人気が高い。特に若い女子に支持を貰っているようだ。


 そんなコマーシャルが気になり、俺は目線をテレビに向け真剣に見入ってしまった。


「二人でもいいのに……」


「え? 何か言った?」


「何でもありません!」


 黙々と米を口に運ぶ姫川。

うん、最近ご飯がおいしいよね。


「そっか。ご飯おいしいな」


「そですね!」


 なぜか不機嫌の姫川。

ご飯もそこまでまずくないし、バランスもとれているし、デザートまで用意している。

何故にそこまで不機嫌になる?


「ご馳走様でした。今日は先に失礼しますね」


 先に食べ終わった姫川は食器を台所に持って行き、部屋を出て行ってしまった。

俺は、何か気に障るような事でもしてしまったのだろうか?


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