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クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第一章 月が照らす公園の中で
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自分の気持ち


 俺はあの時の事を振り返り、自分の気持ちを再度見つめなおす。

何を考え、何を思い、どうしたかったのか。

そして、一つの答えを導き出す。


「嫌だったんだと思う」


「何が嫌だったんですか?」


「姫川の家から荷物引き上げて、ここまで運んで、これから暮らす準備をしようかって時に、今井さんに会って『これからは私が姫川さんの対応を進めていくよ』って言われたとき、無性にイライラしたんだ」


「それってどういう事ですか?」


「多分、今井さんに姫川を取られたって思ったんじゃないかな」


「私が今井さんに?」


「そう。俺がしてきたことが全て無駄になって、あとは今井さんが全部引き受けてくれる。俺のできない事を全部してくれる。確かな方法で、何も問題なく……」


「そんな事を思っていたんですか?」


「自分でも良く理解できていないんだ。ただ、あの場にいちゃいけない、俺が場違いで、俺が役立たずって今井さんに言われた気がして。姫川にもあとは今井さんに任せるから、俺はいらないって思われたって感じたんだ。だから、あの場からすぐに消えたくなった……。一人になりたかったんだと思う」


 

 しばらく時計の音だけが聞こえ、俺と姫川が一言も話すことなく時間だけが過ぎていく。

多分、嘘ではない。うまく整理できていないけど、多分本当の事だと思う。

きっと、姫川は俺の事を嫌な奴だと思うだろう。でも、嘘はつきたくない。

これで、今の関係が壊れたって、俺自身が招いたことだ。


 俺は今の環境を望んでいるのか? 新しい疑問が自分の中に沸いてきた。


「天童君。私は天童君の事、尊敬しています。将来を見て、自分の事を自分でして。しかも料理も出きて」


 姫川が俺の事を見つめながら話しかけてくる。


「私の知らない事を知っている、私に出来ない事が沢山できる。少しぶっきらぼうで、愛想が無くて、学校ではいつも一人で音楽聞いていて」


 姫川の言葉は止まらない。俺を真っ直ぐに見ながらその口を開いていく。


「でも、優しい人。私に声をかけて、助けてくれた。そして、今もこうして一緒にご飯を食べてくれている。私に今まで知らなかった事を沢山体験させてくれる。お父さんと一緒にいたら、私はずっとあのままだったと思います。私も成長したい、できることを増やしたい、色々な経験がしたいです」


「姫川……」


「天童君は私にとって必要な人です。今井さんだって、天童君の事必要としています。だから、そんな悲しい事言わないでください。そして、一人でもいいとか思わないでください。一人でできない事も、二人だったらできることが沢山ありますよ?」


 姫川は椅子から立ち上がり、俺の頬に手を伸ばしてくる。

なんだ? 何をされる? やっぱり一発ビンタとか来るのか?

俺は、ドキドキしながらその手が頬に触れるのを待った。

そして、俺の頬に少しだけ姫川の手が接し、直ぐに離れる。


「ほら、ご飯粒。一人だったら気が付かないでしょ?」


「確かに、一人だったら気が付かないな」


 俺達は二人で少しだけ笑いながら、食事を進めた。

俺の考えすぎだったのか。それとも、考える事すらできなかったのか。

きっと、俺は大人ぶっているだけで、まだまだガキなんだな。

姫川の方がよっぽど大人だ。


 そんな互いの事を少しだけ話し、夕飯も終えることになった。

明日の朝は、姫川の千切り野菜炒めをメインとして朝食を準備しよう。

これも、俺一人だったらできないメニューだ。姫川がいたからこそ生まれたメニュー。

 

 夕飯を済ませ、順番に風呂に入り、明日の準備をする。

日に日に最大精神力が向上していく。非常にすばらしい事だ。

おかげさまで風呂にゆっくりと入り、癒されることができる。


 そして、寝る直前にスマホが震えだす。


「はい、司です」


『司か。昨日の件だが、明日今井さんと一緒にそちらに向かう。夕方になると思うので、姫川さんも一緒に自宅にいてくれ』


 用件だけを俺に伝え、父さんはさっさと電話を切ってしまった。

相変わらず手短だ。メッセで明日の件を姫川に伝え、布団にもぐりこみ、ふと考える。

父さんと会うのは久々だ。俺怒られるような事していないよな?


 そんな事を考えながら俺は夢の世界に旅立って行った……。


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【連載中】 微笑みの天使の恋心 ~コスプレイヤーの彼女は夢を追いかけるカメラマンに恋をした~

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