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クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第一章 月が照らす公園の中で
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ならんだコップ


『お風呂あがりました』


 自室にいた俺は扉越しに姫川の声を聞いた。

父さんとの電話が終わって、どうしたものかと考えていたところだ。


「あぁ、わかったー。俺もこの後入るわ」


 扉を開けた先には昨日と同じような湯上り美少女が立っている。

直視したいが、直視できない。このもどかしさ。


「では、私はこの後洗濯物干して、先に休みますね」


「そうだな、今日はいろいろあったから疲れただろ? ゆっくり休んでくれ。あと、明日は起こさなくていいからな」


「分かりました。ちなみに、天童君は何時に起きるんですか?」


「俺か? 俺は毎朝六時起きだ」


 そんな会話を交わし、姫川は自室に戻って行った。

俺も風呂に入る準備をして脱衣所に向かう。

今日は昨日の事もあり、心を落ち着かせてから入る事を決意する。


 脱衣所に入ると、石鹸のいい香りが漂ってくる。

徐々に俺の精神力を削っていくこの香りは、甘い香りのダメージゾーンだろう。

早く脱出しなければ。


 俺はダッシュでスポポーンになり、風呂へ入る。

ふと、いつも使っている石鹸置き場に目が行く。


 そこには昨日までなかった新しいシャンプーやリンス、トリートメント、石鹸など色々と追加されている。

そして見た事もないアイテムがカゴに入って設置されていた。クシっぽい何かやボールっぽいもの。

一体何に使うんだ? 少なくとも実家の風呂場にはこんなアイテムはなかったぞ?

やはり女の子は普段から色々としているんだな……。


 今日は昨日と違い、湯船にゆっくりつかる事が出来た。

俺の最大精神力もアップし、成長したようだ。ふぅ……。


 いつもの石鹸にシャンプーを使い、シャワーで泡を流す。

日々のジョギング効果なのか腹には余計な肉はついていない、と思う。

継続は力なり。可能な限り規則正しい生活と運動を心がけよう。


 風呂も問題なく上がり、オールバックの状態で台所に行く。

風呂上りに飲んでいる牛乳も今日はコップを使う。ラッパ飲み禁止になったからだ。

冷蔵庫を覗き、明日の朝食の事を考えていると、台所の扉が開く。


「私も牛乳もらっていいですか?」


 頭タオルの姫川がマイコップを持ってやって来た。

クマさんの可愛いコップだ。そういえば、今日アーケードの店で買っていたっけ。


「ほら」


 牛乳パックを手に取り、姫川のコップに注ぐ。

勢い余って、コップを握っていた手に数滴牛乳が飛んでしまった。

それを姫川は、ペロッと舐める。……その仕草が激しく可愛い。


「私も毎日牛乳飲んだら、背が伸びますかね?」


「どうだろうな? 少しは伸びるんじゃないか?」


「では、私もお風呂上りに毎日飲みますね」


 コップを空っぽにした姫川はそのままコップを洗い、洗いカゴにおいていく。


「では、お休みなさい」


「あぁ、お休み」


 姫川はそのあと台所から出ていき、洗面所に入って行った。

そういえば洗濯してるって言ってたな。俺は明日でいいか。


 俺も飲み終わったコップを洗い、クマさんのコップの隣に置く。

二つ並んだコップを横目に、俺も学校の準備を終わらせ、早々に寝ることにする。


 洗面所で歯を磨こうとした時、俺のコップの隣にピンクのコップがある。歯ブラシも刺さっている。

俺はなぜか、胸がドキドキしてしまった。


 睡眠をとる事も重要。寝る準備を終わらせ、アラームの時間を確認し、布団にもぐりこんだ。





――ピピピピピピ


 いつもの時間にいつものアラーム。

俺は手を動かし、アラームを止める。六時だ。


 布団から出て、ジャージに着替える。面倒なので台所で顔を洗い簡単にうがいをする。

軽く背伸びをして走りに行く為、玄関に向かう。



「おはようございます」


 目の前にジャージを着た姫川がいる。何でいるんだ?


「その格好はなんだ?」


「私も天童君と一緒に走ろうかと」


「別にいいが、なんで?」


「深い意味はないですよ。健康の為です」


 二人で玄関を出て、俺は昨日と同じコースを軽く走る。

姫川も俺についてくる。そこまで苦しそうな顔はしていない、と思う。


「このペースで大丈夫か?」


「少しだけ、は、やいかも」


 どうやら俺のペースは少し早いらしい。

俺はゆっくりと、少しずつペースを落としていく。

次第に姫川の息も安定してきた気がする。

そして、しばらく走ったあと自宅に戻ってきた。


「大丈夫か?」


「はい、何とかギリギリついていけました。でも、途中でペース落としましたよね?」


 ばれてますねやっぱり。


「まぁ、そうだな。少しだけ落したな」


「ついて行けるように明日からも頑張りますね!」


 明日以降もどうやらついてくるらしい。まぁ、俺も軽く走っているだけだから別に少しペースが遅くなっても問題はない。

健康維持のためにこれからもがんばるか。


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