竜な公爵令嬢と……。4
「――そういう事だから。二人とも、その気持ちの矛先は一旦下げて? ね?」
とあれから軌道修正して王様の謝罪の言葉を聞いた後に私からも助け船を出した。
じゃないと二人とも怖いんですもの、いろいろと……。
「わかりました。仰せの通りいたしましょう。リンティもいいわね?」
「んー……カメリアちゃんがそう言うのであれば……はい」
不承です! って感じがダダ洩れながらも了承する二人。
これで話が進むわねぇ。
「じゃこの件はこれで一旦終わりにして。王様? これだけじゃないんでしょ?」
と次の話を促す。
だってこれだけならわざわざ個人として理由としては弱いわ。
他になにかあるって思うし、この謝罪は次の布石って感じるのよね。
謝罪は本音なんでしょうけどもまだあるって感じかしら?
などとつらつら考えながら王様の顔見ればちょっと驚いた表情している。
「すごいな……」
「なにを今更仰ってるんですか? こんな可愛い幼女ではお願いしにくいですか?」
「いやはや、すまない。どうしてもその見た目だと、幼い頃のテレジアをみてるようでな。俺はテレジアとは幼馴染でな――ふふっ。本当にそっくりだ」
懐かしいそうに微笑む王様
……ちょい悪おじ様風だから笑うとあれね。ギャップ萌えって感じ。
セバスとかランディとは違う渋さあって凄くいいわ。
「ふふふ、いいわ。王様。お願い聞いてあげるわ」
「なに? まだ何も――」と言ったあたりで遮って言葉を追加する。
「その代わり、私の全てを黙認……いいえ、容認しなさい」と告げ、見た目を幼女から大人へと変える。
ついでに引っ込めていた力も引き出しお客様仕様から普段の状態に戻す。
肩凝るのよね抑えてると。あと翼とか角とかも最小にしてるから窮屈だし。
「ふーぅ」と大きく息を吐きだし首とか肩をほぐしてから、大きく背伸びをする。
「あースッキリしたわ! あら、ごめんなさいね? はしたない姿見せて。改めてごきげんよう王様」
ソファーに腰かけ脚組んでから王様に微笑みかける。
鳩が豆鉄砲を食ったようなって顔ね。ちょっと笑えるわ。
「――その……姿は?」
「ああ、これ? 大人モードって呼んでる擬人化したもう一つの姿よ。小っちゃい姿は幼女モードね。人間の成長速度に合わせて成長する特別仕様なのよ?」
「そんな事まで出来るのだな……凄まじいな」
「ええ。すごいのよ? 竜って。でもそうした理由はあなた達に気を使ってるわけじゃないから。勘違いしないでね」
「……そうなのか?」
「そうよ。お母様とお父様がね。急に大きくなるのはちょっと寂しいっていうの。だからよ」
この会話に込めた意味を理解してくれるのならいいんだけども。
見た目で判断するな。お前たちなんかどうでもいい。私の最優先は家族だ。
こんな感じなんだけど……どうかしらねぇ。
「――……わかった。そなたについては、容認しよう。この家の事も含め、てな」
「合格ぅ。最後については私が生まれた時点で否応なし決まってるようなモノよ」
「……でるな。しかしこれは、天が――いや竜が、俺に与えてくれた奇跡なのだろうな」
そう言うと王様は覚悟完了って顔で、自分が何をしようとしているのか、そしてこの国にこれから何が起ころうとしているのかを話してくれた。




