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異世界単騎行 The Battle of Okinawa 1609 ⇄1945  作者: ロータス
第6章 薩摩組は全員集合★ 1604年 霜月
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おまけ

挿絵(By みてみん)

 ナガマサとの交渉を終えたウシ達は2日かけ、

 ハカタ港にやって来ていた。タエも彼らを見送るために来ていた。

 フクオカ城に立ち寄った彼女の服装は素朴であるものの美々しく、

 深窓の姫君であったことを思い出させる。


 彼らは何とクロダ家の乗船で、サツマの国へ帰る事になった。

 天候さえ良ければ陸路よりもかなり早く、順調であれば1日でサツマへ着く。


 ナガマサは港にある館で、2時間程ウシと琵琶を合奏し、ご機嫌だ。

 悪かった顔色も格段に良くなっていた。


 「セイショウコウのようには引き止められないゆえ、ここまでだ。

 ……また会える時を楽しみにしている」

 ニコニコと2人は笑いあう。



 一行は準備のできた船へと乗船する所だ。大きな帆にはクロダ家の家紋と、

 吹き流しのような細い旗にはシマヅ家の家紋が描かれ、それぞれ風を

 はらんでいた。穏やかな風が吹いている。


 ユウノシンが乗船する前に、タエは彼の袖を掴む。

 彼女は耳まで赤くしながら、黙って彼を見つめる。

 泣いているようで、せっかくの姫様装束が台無しだ。


 「……こんな事をするのは、貴方にだからです。サツマへ戻ったら、

 どうか忘れてください」

 素早い動作でタエはユウノシンの頬へ口付ける。

 彼も拒絶する事なく、甘んじて受けていた。頬に僅かな紅が咲く。


 それを見たドン引きなウシの反応と、「お前かあぁぁ」と怒れる兄が

 ユウノシンへ飛びかかったのは言うまでもない。

 ……ジュウアンは、無の表情だ。


 ユウノシンの前に、素早くタエが立ちはだかる。


 「タエ。嫁に行きたいなら兄が回復してからにしろ!」


 「おいこら残念な美丈夫。鏡見てもの言えよ!」と

 相変わらずの兄妹喧嘩が始まる。

 これはもう収まりがつかない。




 「……僕も、お嫁さんは、元気な女性がいいなぁ……」と

 ユウノシンがそーっと小声で呟くと、ナガマサを軽くのしていたタエが、

 顔を赤くしながらもじもじしている。……自らがのした兄の傍で。


 彼も顔や耳まで赤くしながら、彼女を真っ直ぐに見て言葉を続ける。

 緊張しているにも関わらず、低く穏やかな、落ち着いた声だ。


 「タエ姫。此度の大事な旅、忘れるわけがないでしょう。

 貴女がいなかったら今頃、きっと戦が起きていたはずです。

 どれだけの民が救われたか、分かりませんが貴女は菩薩のような方です」


 「……僕は見ての通り元服したと言っても、まだ世の中を知りません。

 ……まだ貴女を守りきる力が、足りません……」


 「……結局の所、ユウノシン殿はタエ姫の事は好き、でよろしいのでは?」と

 ジュウアンがユウノシンの言葉を遮る。


 「……ユウノシン。惚れたなら、惚れたでもう、いいんじゃないかな?

 タエ姫の嫁入り先が決まっていなければ、だが」と

 ジト目でギリギリ現状復帰した?ナガマサを見ながらウシが言葉を続ける。


 「先生。タエ姫の事をいくら好いていようとも、僕はサツマの国の事で

 気持ちがいっぱいなんです。きっとまだ、彼女をを幸せにできない

 ……まだ僕にはいい返事ができません」


 「兄も、幸せになりたい」


 ナガマサはユウノシンの言葉に安心したのか、とうとう意味深な言葉だけ

 言って気絶してしまった。様子を見計らった近習たちが、

 やっと彼の手当てにかかる。タエはその様子を見ながら、冷静な表情で

 彼へ向き直った。



 「……いつか、この日々が黄金になりましょう。この世は諸行無常。

 また出逢えたなら、……今日の答えを」


 彼女は別れ際、とびきりの儚い笑顔を、想い人へと向ける。

挿絵(By みてみん)


 【次のお話は……】

  6章、あらすじと主要人物紹介になります。 


 【「旅の場所」福岡県 博多港区 (荒戸)】

挿絵(By みてみん)


  【後書き】

    ロータス「次回から琉球編だよ☆」


    バックナージュニア「薩摩組は一旦休憩。お疲れミッチー☆」

    ウシ「キヨマサ回は、夜半まで大変だった……」


    マイチ「カンショの方は上手く広がって行きそうで良かった」

    アキヒロ「出番きちゃった。頑張ろ☆」



    おまけ 餞 (はなむけ) 了


    ▼二巻カラーイメージPOP▼挿絵(By みてみん)

    作品および画像の無断引用・転載を禁止します。©️ロータス2018

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「異世界単騎行」小ネタ帳
(活動報告ページへ移動)
【序章】
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北谷町 桑江宜野湾市 普天間/宜野湾
マイチ浦添沖縄戦
【2章】
バックナー中将と糸満市 名城
首里城跡那覇市 泉崎/国際通り/
久米村 謝名利山
勝連城跡

読谷村 野國 野國総管

【3章】
オリンピック作戦/伝染病について

【4章】
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鹿児島県 旧喜入町と牛島滿中将
鹿児島城跡と島津忠恒
作中救貧作物ビッグレッド冠と簪
【5章】
中城村 当間地域と現地仕様なメイドさん
国王と聞得大君
ウシデーク百十踏揚
うるま市 海中道路
【6章】
加藤清正と黒田長政薩摩焼酎
熊本城跡博多港
徳川家康と近世日本の幕開け

【7章】
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アメリカ合衆国 ケンタッキー 州戦艦ミズーリ
地産地消とンムクジアンダーギー海邦養秀
【8章】
【9章】
ジュゴン
ジュリ売り/糸満売り沖縄戦の戦没者数
【10章】
千姫

【11章】
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島田叡 沖縄県知事



「小説家になろう」投稿分では
こんな感じでイラストを描いたり、

たまぁ〜にAIイラストを作成しています。
 ※AIイラストについては作品掲載は無し、
 活動報告ページで使用感を述べる感じです。
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画像をクリックで関連ページ   (「小説家になろう」活動報告、みてみんブログページへ) に移動します。

※ナシロ村の画像だけ本編エピソードへご案内☆




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