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異世界単騎行 The Battle of Okinawa 1609 ⇄1945  作者: ロータス
序 章 異世界へようこそ 1604年 弥生
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第1話

【タイトルロゴ】

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

 やがて森を抜け、煙の立つ場所が詳しく見えてくる。

 向かう方向へ茅葺の屋根が2、3軒見え始めたのだ。

 ただ、ここに来るまで有るはずの電信柱が全く見当たらず、

 道にも目立つ轍すら見当たらなかったのである。

 

 一体どこへ飛ばされたんだと、

 彼は内心呆れながらも自ら決めた目的地へ近づいて行く。


 建物は10軒ほどあるようだが、やはり人影は見当たらない。



 ……ここは集落だろうか?

 サイドバーを降ろし一旦停車して辺りを見回す。

 辿り着いた茅葺屋根の家屋は、

 丈の長い草で編まれた草壁と城の石垣とまでは行かないが、

 小振りの石を積んだ高い石垣が取り囲む。



 そっと覗き込んだ薄暗い家の中は、

 踏み固めた土間の先に石で竃が組まれ、

 申し訳程度な小さな炎と煙を放っていた。


 最初に見かけた湯気の正体はコレのようで板間は見られず、

 彼にはガラクタに見える物が無造作に置かれている。


 (まるで発展途上国のCMで見るような場所じゃないか。豊かそうに見えないぞ)

 さらに歩くと村の真ん中にある広場へ続き、

 時代劇に出てくるような木で作られた立派な御触書が

 広場の中央にしっかりと打ち付けられていた。

 つらつらと筆文字が書かれていたのを読みたくて

 覗き込もうとした次の瞬間、彼は驚いて後ずさってしまう。

挿絵(By みてみん)


 筆文字が一瞬にして活字に変換され、

 彼にも楽に読めるようになったのだ。



 『クワエ村民へ告ぐ。 農閑期を利用して断続的に続いていた

 「ウラシイ海城」の修復期限を切り上げる為に、臨時で人足を募集する。

 給金と食糧は弾むので、急いで来られたし。ウラシイバンショ』



 「んー……農閑期に城の修復を?人がいないのはわかったけどね、

 ここはどこなのさ……クワエ村?」




 海の方を見回してみるが、「城」らしき建物は見当たらない。

 疲れたのか停めてあったバイクの荷物から

 引っ張り出した水筒の水を一口飲んで、

 努めて落ち着こうとする。


 早く誰かに出会わないとまずいよなぁ、

 と不安を抱え始める彼が座り込むと背後から突然声が聞こえてきた。

 「坊主、どこから来た?こりゃあ、何だ?」


 驚いて振り向くとかなり痩せていて、

 つぎ当てだらけな着物を着ている老人が1人で近付いて来る。


 頭にはくたびれた布を巻いて、左手に小さく古びた中華鍋を携えていた。



 彼は急に呼びかけられて心底驚いてはいたが、

 驚きよりも言葉が通じる相手が現れた事に

 安心がまさって拍子抜けしてしまった。

 「大丈夫かい?坊や。わしはこの村の長でクワエ村のジルと言う。

 お前さんはどこから来たのかな?」

 老人は口調こそとても優しいが、探るような厳しい眼差しを彼に向けた。


 「始めまして村長さん。僕の名前は鈴木叡弘と言います。

 日本人で今は南へ向けて旅をしていて……

 言葉が通じるようなので、ここはどこなのか、

 どういう所なのか教えてください」


 老人はフムと頷きながら、言葉を続ける。


 「坊やはアキヒロと言うのか。「ニホン」という村は遠くにあるのかな?

 聞き慣れない名前であるね。

挿絵(By みてみん) 

 ワシらはここ、すなわちクワエ村周辺にある

 村々の名前ぐらいしか分からない。

 遠い村とのことは、偉いお役人達に任せてあるでな」


 老人は困った表情ではあるものの、彼へ簡潔に答えてくれた。


 「村の皆は御触れのあった城の普請が終わるまで

 しばらく帰ってこないが、今日はもう遅い。

 成人前の子どもを外に置いておくと山賊や化け物に捕まるから、

 村に泊まっていきなされ。

 仕様がないが、ワシの家なら泊められるかもしれん」


 叡弘は彼の言葉に甘え、

 不思議な村で夜を過ごす事になるのだった。

挿絵(By みてみん)


 【次のお話は……】

  村長しかいない、謎な村に泊まる事になった主人公。   


 【「旅の場所」沖縄県 北谷町 桑江】

挿絵(By みてみん)


  第1話  ワレワレハ「ニホンジン」……デス? 了

  作品および画像の無断引用・転載を禁止します。©️ロータス2018

▼一巻カラーイメージPOP▼挿絵(By みてみん)

たくさんの作品の中から、本作を読んでいただけて嬉しいです。

ありがとうございます。

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「異世界単騎行」小ネタ帳
(活動報告ページへ移動)
【序章】
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北谷町 桑江宜野湾市 普天間/宜野湾
マイチ浦添沖縄戦
【2章】
バックナー中将と糸満市 名城
首里城跡那覇市 泉崎/国際通り/
久米村 謝名利山
勝連城跡

読谷村 野國 野國総管

【3章】
オリンピック作戦/伝染病について

【4章】
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鹿児島県 旧喜入町と牛島滿中将
鹿児島城跡と島津忠恒
作中救貧作物ビッグレッド冠と簪
【5章】
中城村 当間地域と現地仕様なメイドさん
国王と聞得大君
ウシデーク百十踏揚
うるま市 海中道路
【6章】
加藤清正と黒田長政薩摩焼酎
熊本城跡博多港
徳川家康と近世日本の幕開け

【7章】
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アメリカ合衆国 ケンタッキー 州戦艦ミズーリ
地産地消とンムクジアンダーギー海邦養秀
【8章】
【9章】
ジュゴン
ジュリ売り/糸満売り沖縄戦の戦没者数
【10章】
千姫

【11章】
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島田叡 沖縄県知事



「小説家になろう」投稿分では
こんな感じでイラストを描いたり、

たまぁ〜にAIイラストを作成しています。
 ※AIイラストについては作品掲載は無し、
 活動報告ページで使用感を述べる感じです。
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画像をクリックで関連ページ   (「小説家になろう」活動報告、みてみんブログページへ) に移動します。

※ナシロ村の画像だけ本編エピソードへご案内☆




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