プロローグ
バイクで単騎、街道をのんびり駆けていく。
日は暖かく、風は気持ちが良い。
バイクからニーノシマの街境に入ったと告げ、簡単な街の説明を始める。
「ニーノシマは港町で海沿いに大きな港を構え、
主に生活に関する物資で占められている。
南のウラシイで働く労働者が住む地域になっていて
ウラシイ向けに大きな施設が集中した街だ。
今晩、我等が宿泊するような宿もこの近く」
説明を聞いていた叡弘と山口さんは、それぞれため息をつく。
「やっぱりここは沖縄だね……意外だったけど」
2人は異口同音ながらも同じタイミングでため息を洩らした時に
目が合い、お互い笑い合う。
……落ち着きを取り戻し、バイクにバンショへ案内してもらう。
初心者向けの宿を探すためだ。
山口さんへ部屋に着いた時にステータスを確認させてほしいと
お願いすると、意外にいい返事が返ってくる。
そんなこんなで目的地に着く。
大きな和風の建物が余りにも立派で気圧されてしまう。
中へ入ると、早速窓口の係員から歓迎される。
既にフテンマのバンショから連絡が入っているようだ。
ご機嫌で精算を済ませ、叡弘の手には以前の取引よりも
かなり高価に卸せた代金が収まっている。
銀貨が14枚と銅貨200枚、合計銀貨16枚分の売り上げがあり、
フテンマで残っていた金額を合わせると銀貨20枚と少し、
価格にして20万銀くらいの資金が手に入る。
……しばらくの旅には困らない額になった。
取引が終わり宿の案内をお願いすると、
バンショの建物内に宿屋があり、
一泊一部屋二食付きで10万銅で泊まれると言う。
個室が多い宿で、地上2階、地下1階の豪勢な作りで1階は受付と食堂、
奥の庭はなんと露天風呂があり、2階は客室が30ほど用意され、
利用客を迎えている。
「温泉に入って料理も食べる、贅沢じゃないか。
他の宿に行っても風呂がこっちなら、ここがいい」
……彼らは相談してニーノシマの宿を2日ほど、
この宿に決める事にした。
店員は「お乗物が特殊ですので受付の入り口へお止めください」と
勧められた場所へバイクを停めて、店員から渡された布を被せる。
客室では障子を開くと街の様子が広く望め、
通りには人の往来が多い。
遠くに太鼓や笛の音が聞こえ賑やかしい街のようだ。
店員が退室した後、部屋でやっと落ち着いた
叡弘はステータスの確認をしてみる。
フテンマで色々あったからだ。
「なんか増えてる……」驚きながらも、
山口さんに視線を合わせると、
「約束だからな、見てもいいぞ」と返事が帰ってきた。
「俺の方は病気以外は普通か。治ってからのお楽しみだな」
「問題が俺の病気だけのようだな。宿も金も確保した。
次の目的地は温泉に浸かって、ご飯を食べながら決めようぜ!」
叡弘は彼の調子の良い返事に頷く。
ニーノシマの最初の日が暮れる。
【次のお話は……】
ニーノシマに到着し、宿を決めた叡弘たち。
山口さんのマッチョ振りは、皆さんのご想像にお任せします。
誰得……
【「旅の場所」沖縄県 宜野湾市 宜野湾】
プロローグ ニーノシマ到着 了
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