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悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです[web版]  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売
本編

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63 輝くイケメンが鬼になりました


「……何をしているのですか?」


「え?えーーーーと……」


「こんな時間に。こんな場所で。こんな格好で。

一体何をしているのですか?」



イクス……。

落ち着いた喋り方なのに、何故かとても怖いわ。


それに、何故こんな時間にこんな場所にいるのか……私の方が聞きたいくらいよ。

何でここにイクスがいるの!?



「イクスこそ、何故ここに?」


「……リディア様の様子がおかしかったので、部屋の外で待機していました。


1時になっても何もないようなら戻るつもりでしたが、そのような格好で出てきたので後をつけてきたのですよ」




マジか!!!

あの時、暗い廊下に潜んでいたのかよ!!


人の気配なんてしなかったのに。忍者か!!



コソコソ行動していたのを見られていたと知り、無性に恥ずかしくなった。

私……バカみたい……。



でもエリックに見つかるよりは、イクスで良かったのかも。

エリックに見つかった事を想像したら恐ろしすぎるもの。



「あ、あの、イクス……。

この事、エリックお兄様には……」


「それはリディア様次第です。

何をしようとしていたのか、説明してくれますね?」



ううっ……。


イクスにこれ以上隠すのは無理ね。

全部正直に話すしかないか……。


私の護衛騎士のイクスなら、ドグラス子爵もきっと知らないでしょうし。



私は観念してイクスにドグラス子爵の件を全て話した。

もちろん、夢で見た神様からの知らせだという事にして。



「まさかそんな……ドグラス子爵が、万薬を密輸して闇市場へ……!?」



イクスは信じられないといった顔でかなり動揺していた。

もしそれが事実だった場合、コーディアス侯爵家にどれだけの被害が及ぶかを一瞬で悟ったようだ。


顔が真っ青になっている。



「何故エリック様に報告されないのですか!?

これは早く処理しなくては、大変な事に……」


「イクス。落ち着いて」


「ですが……!!」



こんなに動揺しているイクスは初めて見たわ。


でも、無理はないよね……。

下手したらコーディアス侯爵家が潰されてもおかしくないほどの失態だもの。



「ドグラス子爵や隣国の窃盗団は、エリックやカイザを監視しているのよ。

自分の事を怪しんでいないかどうか。


今エリックがそれに気づいたとドグラス子爵に知られたら、証拠が掴めなくなるかもしれない!

ドグラス子爵がまだ疑われていないと安心している今、私が動くしかないのよ!」



イクスは私の言葉を聞いて、すぐに何かを言い返そうとしていたが、我慢したようだ。


納得のいかない部分もあるが、私の言っている事も理解できる……といった感じだろうか?



険しい顔をしたままずっと考え込んでいたイクスだが、何かを決意したかのように私に向き直った。



「……わかりました。

エリック様にはまだ話しません。


ただし、俺がリディア様に協力します!

お願いですから1人では動かないでください」



切羽詰まったような顔で、真剣に私を見つめている。

本気で私の心配をしてくれているのだ。


護衛騎士であるイクスに何も言わず、夜中にこっそり1人で抜け出そうとした事に、イクスはショックを受けているのかもしれない。



「わかったわ。


……本当は心細かったの。ありがとうイクス」



私の正直な気持ちを聞いて、イクスは安心したらしくふっと柔らかく笑った。



ドキッ



月明かりの下、こんな風に優しく微笑むイクス……格好良すぎる!!!

イクスってばまだ17歳のくせに少し色気があるのよね!!大人っぽいというか!


思わずときめいちゃったわ!!




「それで、今日は一体どこへ行くつもりだったのですか?

この抜け道はメイドやシェフ達が街へ買い物に行く時などに使っている道ですよ」


「ええ。街へ行こうと思っていたのよ」


「……Jという人物に会うためですか?」



イクスの声が少しだけ低くなった。


よく覚えてるわね。

1度ボソッと言っただけだったのに。

イクスってば、さっぱりしているように見えて実は執着タイプなのかしら。



「そうよ。Jは情報屋なの」


「……リディア様が何故そのような人物を知っているのですか?」



イクスは不審そうな顔でじーーっと見つめてきた。



うっ……。

兎のジャックという名前を出しても平気かしら?



昔のリディアなら、そんな人物と知り合っててもおかしくないわよね。

昔からの知り合いって事にしちゃう?



……でもイクスも一緒にJに会うなら、どちらにしろバレちゃうわよね。



「リディア様。また百面相になってますよ。

なにか正直に言えない理由でもあるのですか?」



うん。コイツは誤魔化せないわね。

正直に言いましょう。



「あの……この前の兎のジャックなの。

私を誘拐した、あの男がJよ」



言った後に、恐る恐るイクスの顔を見る。


先程までは月明かりにキラキラ輝くイケメンだったはずなのに、今は悪魔と契約でもしたのかと言いたくなるほど闇のオーラに包まれていた。


目の錯覚なのか、イクスの頭に角が生えているような気さえしてくる。



ひぃぃぃぃっ!!!怒ってる!!

すごく怒ってるわ!!



「兎のジャックの男と、今から会おうとしていたのですか?


お1人で?」



お1人で?の声がやけに大きくて威圧感すごいですーーーー!!


どうしよう。

とりあえずごめんなさい!と連呼して土下座したいくらい怖いわ!


誰よ!エリックよりはイクスのが怖くないなんて言ったヤツは!


……って私か!


イクスも十分怖いわ!!



イクスは色々言いたい言葉を全て飲み込んだようで、闇のオーラを纏ったままニッコリ笑った。こわ!!



「まぁ結果俺が一緒に行くから良いとしましょう。


では参りますか?

そのクソ兎のところへ」



……イクスさん。


丁寧な言葉の一部がおかしいです……。


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